死ぬ瞬間はこんな感じです。死ぬのはこんなに怖い。医者は本当のことは言いません週現スペシャル大研究 第2部

2012年12月20日(木) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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 もちろん、死に直面したとき、人は誰しも臨死体験をするわけではない。

 前出の玄侑氏は自身の不思議な体験を語る。

「死とは『私』がほどけていく過程なんです。暑いのも、苦しいのも、痛いのも『私』であり、その『私』がどんどん変性しながらほどけていく。

 私は中学3年のとき、日本脳炎にかかって意識不明に陥ったんです。ところが、担当の看護士さんによると、昏睡状態のはずの私はベッドの上でちゃんと目を開け、身体を動かしていたという。いわば、私の身体がコンピューターだとすれば、ユーザーだけが急に替わってしまったような不思議なことが自分の身体に起きていた。この体験から人間が死ぬということは私が私だと思っている存在が〝無〟になることだと思いました。

 死ぬ数時間前まで『痛い、痛い』と言う人はいるでしょうが、いわゆる死、その瞬間に痛みはないようです。私の知り合いに5000人以上の方を看取ってきた医者がいますが、彼によると泣き叫びながら逝った方は一人もいないそうです」

 前出の平野氏も同様の意見である。

「ご臨終を迎える患者さんは何日か前から昏睡状態に入っていくので、自分が死ぬことさえわからないのではないかと思います」

 問題は、その瞬間が来るまでの月日をどう過ごすかにある。明晰な意識を保ったまま、死が間近に迫ってくるのを受け入れるのは大変な精神的な苦痛を伴う。

絶対に死にたくない人

 たとえば、末期がんの宣告をされた患者がその後、自暴自棄に陥ることは珍しくない。ときに死への恐怖によって精神は崩壊する。大手大学病院の整形外科病棟に勤める看護士は語る。

「悪性骨腫瘍を患った男子高校生は化学療法で進行を抑えて手術をしたが転移も見つかった。明るい子でしたが『死』を考え始めると不安で不眠症になった。精神的にも不安定になり、『死ぬんだからほっといてくれ!』と暴れて同僚を噛む。抗うつ剤を投与し、精神科へ移りましたがまもなく亡くなりました」

 若さゆえの事例ではない。都内のホスピス科医師は「30~60代の患者こそ冷静な判断力を失う」と語る。

「やはり未成年の子供を持つ患者さんは死ぬことを受け入れない。印象的なのは50代で末期なのに代替医療に手を出して、1500万円くらい使った患者。効果がないのに嫁、娘も延命治療を止めない。身体中にスパゲッティのように管を巻きつけたまま死にました。

 40代の女性患者で自分が死んだ後、旦那が再婚することを恐れてパニックになる人もいましたね」

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