スポーツ

常勝・日ハムを作った男高田繁インタビュー
強い組織をつくるのは難しいそれを維持するのはもっと難しい

2012年12月15日(土) 週刊現代
週刊現代

 絶対エースが抜け、1年生監督が指揮しても優勝した日本ハム。入団拒否濃厚の新人を2年連続で1位指名した姿には余裕さえうかがえた。常勝軍団の礎を築いた男は・セ界最弱・組織をどう変えるのか。

中畑清への「クビ宣告」

「秋季キャンプの会場に着くなり、私は中畑(清・監督)にこう告げました。『2年連続最下位になったらクビだぞ』と。それは、彼を連れてきた私も同じ。一蓮托生です。いくら集客効果を見込んで球団が慰留しようとも関係ありません。ファンが許しませんよ」

 1年目を最下位で終えた新生DeNAベイスターズが激動のオフを迎えている。

 防御率1・74、22セーブの成績をマークし、WBC代表にも選ばれた守護神・山口俊に球団が示した新年俸は500万円ダウン(後に現状維持に修正)。まだ入団4年目の細山田武史捕手には65%ダウンの大減俸を敢行。税金を引くと年収150万円程度という、厳しい状況に追い込んだ。

 吹き荒れる大嵐。その中心にいるのが、就任2年目を迎える高田繁GMだ。

「全員、ダウン提示から交渉を始めてもいいくらいですよ。5年連続最下位ですから、査定が厳しくなるのは当たり前。結果の世界に生きているのだから、負けた現実を自覚しなければなりません。とはいえ、ダウンしたからといって、期待していないというわけではない。チームに必要なければ、解雇していますから」

 高田氏は、さも当然というように語るのであった。そこには選手として監督として、そしてGM(ゼネラル・マネージャー)として、プロ野球チームという結果だけが求められる組織を生き抜いてきた男の凄みが感じられた。

 名GMとして高田氏の名前が一躍広まったのは日本ハム時代。'05年に就任すると翌'06年に25年ぶりのリーグ優勝、44年ぶりの日本一に導いたのである。チームは翌年もリーグを制覇。

 快進撃を支えたのが、8000万円もの巨費を投じてつくったコンピュータシステム「ベースボール・オペレーション・システム(BOS)」だった。選手の能力、年齢、年俸などを数値化して評価するシステムで、モットーは「スカウティングと育成で勝つ」。これによって、チームに不足している戦力、コストに見合わない放出候補、将来の主力となりうるファームの強化指定選手が一目で分かるようになった。

 開発に携わったのは、メジャーリーグで最先端の戦略を学んできた元新聞記者の吉村浩氏(現チーム統括本部長)。球界的には素人の吉村氏のアイディアを取り入れることには当然、選手たちの反発もあっただろう。しかし、高田氏はこれをすぐさま採用し、吉村氏を参謀として重用した。

「私は頭が良いほうじゃないから、助かりましたよね。今ではどこの球団もBOSを採用していますよ」

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