雑誌
血液はウソをつかない過去もごまかせない本誌記者10人が受けてみて仰天!「がん遺伝子検査」でここまでわかった

 病気になりたくない。そう思いつつ、つい不摂生をしてしまうのが人間だ。だが、肉体は全て記憶している。がん遺伝子検査で聞こえてきた体の声は、どんな検査よりも早くがんへの警鐘を鳴らしていた。

わずか2・5mlの血液で

 3人に1人ががんにかかり、そのうちの2人に1人はがんで命を落とす「がん死時代」。がんの脅威に対抗すべく「早期発見」が叫ばれて久しい。

「腫瘍マーカーやMRI、CTといった画像検査、血液分析技術は確かに進歩しました。しかし、これらは『早期発見』とはいえ、病気になった結果を見ている検査です。命は助かったとしても、苦しい闘病は避けることができない。しかし、遺伝子医学が進み、これからこんながんになるだろうという未病状態を診断することが可能になりました。それが『がん遺伝子検査』です」(東京大学名誉教授で臨床ゲノム医療学会理事長・渥美和彦博士)

 この検査の仕組みを、愛知医科大学大学院医学研究科教授の福沢嘉孝医師が説明する。

「がんは、遺伝子の病気です。正常な状態では発がんを抑制している『がん関連遺伝子』に異常が起こる(発現する)と、がん細胞がどんどん作られてしまい、『発症』となるのです。遺伝子検査では、このがん関連遺伝子がどれくらい発現しているか、その量を調べます」

 がんは、発症する前から関連遺伝子の発現が始まる。そのため、発現量を見れば、がん発症リスクを早期に発見・予測することができる。

「つまり、現時点で各人の身体が、どれだけがんを発症しやすい環境かを測るということですね。異常がなければ、その時点でのがん発症リスクは低くなりますし、発現量が多ければ多いほど、高まります。

 この検査の画期的な点は、画像診断以前の「未病段階」のがんを見つけることが可能だということです。CTやMRIといった従来の画像診断等の検査では、がんは5mm以上の大きさになっていなければなかなか発見できませんからね」(前出・福沢医師)

 がんには、「がん家系」という言葉があるように遺伝病というイメージが強い。確かにがんは遺伝子の病気だが、親から受け継いだ「遺伝」によるがんは患者全体のわずか5%、残り95%は「環境因子」に原因があるということが近年の研究で明らかになった。東海大学医学部教授の久保明医師が説明する。

「親から受け継いでいる遺伝子は生涯変わらない『体質』のようなものです。一方で、それ以外の、自分のオリジナルの遺伝子は日頃の生活習慣などによって変化を起こします。オリジナルの遺伝子が今どんな状態にあるのかを解析し、そこからがん発症リスクを測るのが、この遺伝子検査なのです」

 検査で調べられるがん関連遺伝子は、男女あわせて10種類。それらを解析し、肺がん・食道がん・胃がん・大腸がん・肝臓がん・すい臓がん・胆道がん(以上は男女共通)、および前立腺がん(男性のみ)、乳がん・子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん(女性のみ)の12種類のがん発症リスクがわかる。全身の主要ながんリスクをいっぺんに知ることができるが、検査方法は非常にシンプルだ。わずか2・5mlの採血で済み、解析は2週間ほどで終わる。

 リスクの高さは「健常・標準(わずかに)・やや注意・注意・警告」の5段階で評価される。最も望ましいのは、もちろん「健常」の評価。細胞はほぼ正常な状態であり、がん発症の可能性は、いまのところゼロと考えてよい。

「標準(わずかに)」は、がん発症のリスクと、それに対抗する免疫力のパワーバランスが拮抗している状態だ。健常に比べ、がん関連遺伝子の発現量が1・4倍あるので、食生活や喫煙、ストレスなど、何らかの要因で免疫力が落ちれば、リスクは上昇する。

「やや注意」になると、免疫力のパワーバランスが若干崩れている。がん関連遺伝子の発現量は、健常の1・5~1・9倍。がん発症のリスクがやや高くなってくるので、生活を改善して免疫力とのバランスを整える必要がある。

「注意」は、発現量が2~3倍。がん関連遺伝子が、増えてきている状態だ。発症リスクも上がってくるので、専門家の指導を受けて、生活習慣の見直し・改善をする必要がある。

 発現量が4倍以上になると「警告」になる。がん発症の可能性が極めて高くなり、すでにがんができている恐れもある。すぐにでも総合検診を受けるべきなのがこのレベルだ。

 今回は、革新的なこの検査に、本誌編集部記者が勇気を振り絞って挑んでみた。年代は20~60代の男女10人。受診者のデータをまとめたのが前ページの表1、結果が上の表2だ。

 今回の検査では、即精密検査行きの「警告」レベルは出なかった。そこで、「健常」は空白、「わずかに」は△、「やや注意」は○、「注意」は◎で表した。

 表2の縦の欄ががん関連遺伝子だが、一つの遺伝子でいくつものがんと関連しているものもある。そのあたりも含めた詳細なデータは最終ページの表3を参照してほしい。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら