企業・経営
はっきり言おう、シャープが経営再建を果たすためには「鴻海」グループの傘下に入る以外に道は残されていない!
〔PHOTO〕gettyimages

 経営再建中のシャープに対してみずほ信託銀行と三菱UFJ信託銀行が計200億円の追加融資をするとの報道が12月11日に流れた。これは、シャープが9月27日に三菱東京UFJ銀行とみずほコーポレート銀行のメーンバンク2行と総額3,600億円のシンジゲートローン契約を締結したことに伴い、その枠組みの中にみずほ信託と三菱UFJ信託の両行が加わるというものであり、3,600億円の枠が拡大されるわけではない。

 このため、シャープの資金繰りが上向くものでもない。シンジゲートローンの契約は2013年6月30日までであり、この間は何とか持ちこたえられるだろうが、依然として、シャープの資金繰りは綱渡りの状況にある。

下半期の黒字化達成は楽観視できない

 シャープは12月4日、米半導体大手のクアルコムと新型パネル「MEMS(メムス)ディスプレー」を共同開発し、その開発費用に充てるために同社から最大で1億2,000万ドル(約100億円)の出資を受ける業務・資本提携を発表した。

 「MEMS」とは微小電子機械システム。パネル表面の微小の機械を開閉することで光や色調を調整する半導体技術がベースで、クアルコムの子会社である米ピクトロニクスがその技術を持っている。この技術を次世代のディスプレーに応用すれば、液晶と違ってカラーフィルターや偏光板を使わないなど部材の数を抑えられるのでコストが下げられ、しかも消費電力が少ないため、スマートフォンやタブレット端末への利用が有望視されている。

 しかし、クアルコムにはその量産技術がないため、シャープが持つ製造技術を活用したい考え。シャープも同社の最新ディスプレー「IGZO」の技術が「MEMS」に応用できると判断した。両社が提携することで実用化が早まる可能性もある。

 経営危機のシャープにとっては久しぶりの明るいニュースだが、自己資本比率が低下するなど財務体質の改善を急がなければならない同社にとっては、この提携は残念ながら「焼け石に水」である。出資で入ってくる新しい資本の用途が提携業務に限定されているうえ、しかも、クアルコムからの出資は条件付きで2段階に分けられている。

 第1段階では、シャープが行う第三者割当増資にクアルコムが応じて今年12月27日に半分の50億円を振り込むことが決まっているが、第2段階の出資は条件付き。その条件とは、第1段階の出資完了後、提携に関係する製品仕様を確立させ、設備など必要な資源を確保することに加えて、2012年度の下半期(2012年9月~2013年3月)に営業黒字化することなどだ。クアルコム側にしても株主の目が光っているから、赤字企業への出資には慎重にならざるを得ないのであろう。

 この営業黒字化の達成は、今のシャープの経営の状態から見て楽なことではない。赤字の「元凶」のひとつだった稼働率が低い堺工場の運営会社を台湾の「鴻海」との共同経営に切り替えて完全連結から外したことで「重荷」は少し減ったが、今のシャープの経営状況から見て下半期の黒字化達成は楽観視できない。

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