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特集 家族と向き合った日々を有名人6人が語った「私の介護体験記」
昨年夏、病院でリハビリを行う大島氏。小山は現在、来年1月上演の舞台『女のほむら』の稽古に励んでいる

小山明子
追い詰められて〝介護うつ〟

 総務省の統計によると、今年9月、65歳以上の高齢者が初めて3000万人を超えた。ますます高齢化する社会において、介護が深刻な問題になりつつある。

 介護は、24時間、365日の労働だ。頑張り過ぎて、介護する側が身体を壊したり心を病んでしまうケースもある。

 女優・小山明子(77)も夫で映画監督の大島渚氏(80)の介護が原因で4年もの期間、うつ病に悩まされたという。

  '96年2月、大島氏は訪英中に脳出血で倒れ、右半身麻痺の状態になった。

「私はそれまで女優一筋で、家事はお手伝いさんに任せきりだったので料理が全然作れませんでした。だから、カロリー計算した食事が必要だと言われても、献立も考えられない。頑張らなければと思えば思うほど追い詰められていったんです」

 すぐに小山自身がうつ病になってしまい神経精神科に入院。入退院を繰り返し、一時は自殺まで考えた。そんな時に小山を支えたのが二人の息子たちと、闘病中の夫の姿だった。

「息子たちが毎日面会に訪れ、パパが『もう一度メガホンを』と必死でリハビリをしていることや、自分よりも私の状態を心配していることを教えてくれました。家族の支えで、私自身もうつ病であることに正面から向き合えたんです」

 小山はうつ病を克服し、大島氏も奇跡的な回復を遂げ、監督業に復帰した。しかし'01年、大島氏は今度は十二指腸潰瘍穿孔を患い生死の境を彷徨う。手術は成功したものの、半年に及ぶ入院生活で歩行が困難な状態に。退院して在宅療養に切り替え、小山は大島氏に24時間付き添う生活となった。要介護5の認定を受け、排泄の世話も必要になった大島氏は「もう死にたい」とさえ漏らすこともあった。