悲鳴を上げる31歳の肉体、それでも元王者はスーパーバンタム級に舞台を変えて闘うことを選んだ 長谷川穂積「勝利への執念」
トレーナーの指示に合わせ、立て続けに4~5発のコンビネーションをミットに繰り出す長谷川。乾いた音がジムに響く

「残り10秒! ゴーゴーゴーゴー!」

 トレーナーの声に励まされ、苦渋の表情を浮かべながら一打一打をミットに叩きつける。1ラウンドと同じ3分間が過ぎると、30秒という短い休憩を挟んだだけで、再び練習を再開する。滴り落ちる汗がマットを濡らし、シャツにも汗が滲んでいった---。

 '11年4月にジョニー・ゴンザレス(メキシコ)に敗れ王座から陥落した長谷川穂積(31・真正ジム)。一時は引退も考えたがついに再起を決意した。今年4月にフェリペ・フェリックス(メキシコ)に長谷川は勝ち、12月22日には再起第2戦となるアルツロ・サントス(メキシコ)との試合に挑む。

 フェザー級から1階級下げたスーパーバンタム級という未知なる領域で戦う重要な一戦を前にした11月下旬、長谷川が本誌に胸中を明かした。

「バンタム級の時はテクニックやスピード、タイミングを重視し、相手に〝打たせない〟ボクシングを心がけた。フェザー時代は足を止めて打ち合う経験もした。スーパーバンタムは間に位置する階級なので、その二つを融合したボクシングができると考えているんです。〝打たせずに打つ〟理想とするボクシングを完成できるか、試したいんです」

 抱負を語る長谷川だが、再起を決意した陰には苦悩と葛藤の日々があった。