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ITトレンド・セレクト
2012年12月13日(木) 小林 雅一

21世紀のAIロボットが蒸し返す、19世紀のマルクス理論

米クイズ番組で歴代チャンピオンをリードする、IBMのクイズ解答コンピュータ「ワトソン」〔PHOTO〕gettyimages

 著名な経済学者のポール・クルーグマン氏が先日、ニューヨーク・タイムズ紙上で風変わりな視点から現代社会の変化を指摘していた。

●〈Robots and Robber Barons
The New York Times, December 9, 2012 By PAUL KRUGMAN

 それによれば現在の米国では、企業の利益が過去最高を記録する一方で、労働者の給与や福利厚生費は下落しているという。ちょうど今から1世紀以上も昔、カール・マルクスが指摘したように、資本家階層が肥太り、労働者階級が搾取されるような状況が、今、再現されているという。

 「そんなことは言われなくても分かってるよ。いつの時代だって、どこの国だってそうじゃないか」と反論したくなる人もいるかもしれないが、クルーグマン氏によれば、つい最近までの風潮は必ずしもそうではなかったという。少なくとも、ここ10年位は「資本家vs.労働者」という構図ではなく、むしろ労働者階級の内部における富の分配の不均衡が問題視されてきた。

 すなわち、金融セクターで働くトレーダーなど上位1%の労働者の収入が宇宙ロケットのように上昇する一方で、製造業界やサービス・セクターなどに属する99%の労働者の雇用が不安定化し、給与も下がっている。これが問題視されてきたわけであって、たとえば2011年秋から米ウォールストリート(金融街)を席巻した「We are the 99%(我々99%にも金をよこせ)」デモも、まさにそうした最近の世界観を反映していたと言える(もちろん、1%や99%など具体的な数字は正確な統計値というより、象徴的な意味合いで使われている)。

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