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大論争女子たちはこう考える「夫の痴漢許す?許さない?」

上野千鶴子 倉田真由美 福島瑞穂 柴門ふみほか
週刊現代 プロフィール

 社会の規範は時代によって移ろう。かつて、日本には多少のお触りは許されるという「常識」があった。だが、その常識が間違っていたと主張するのは、当代随一のフェミニスト・上野千鶴子氏(64歳)だ。

 上野氏は本誌の取材姿勢そのものに苦言を呈する。

—痴漢という行為のどこがどう許せませんか。

「『痴漢のどこが許せないのか』という質問が成り立つこと自体、論外です。痴漢は同意のない人権侵害。質問書に『痴漢で逮捕と聞くと、男として多少同情的に見てしまう面もある』とありますが、そんな一般論があるのですか?だとしたら男はとんでもない生き物ということになる。女体であれば何でも性的対象物にするという、猿にも劣る考えです」

—失礼しました。最近、痴漢事件が多発する背景に何があるのでしょうか。

「過去の事例から、痴漢、盗撮の加害者はほとんどがリピーターだとわかっています。痴漢の加害者が急に増えたのではなく、女性の受忍限度が下がり、告発が増えたんです。以前は『女性側にスキがあった』と被害者の落ち度を平然と問う声がありましたが、『痴漢は犯罪』という認識が常識化してきた結果です」

—夫が痴漢した場合、離婚する夫婦が多い。

「当然ですね。女を人格として扱わなかったのだから無理もないでしょう」

容認派なんていない

 社民党党首で弁護士資格もある福島瑞穂氏(56歳)は、「痴漢が犯罪、人権侵害だと広く認識されてきた意義は大きい」としながらも、夫の痴漢については上野氏と違う見解を述べる。

「まずはガッカリしますけど・・・・・・でも、でもでも、被害者のことを考え、その気持ちを理解し、心から相手に謝罪して反省するなら許すと思う。すべての人は更生できるはずですから。

 たとえば夜道を歩いていて、後ろから男が抱きついたとすると、女性は命の危険まで感じるんです。男が『ちょっと触ったろか』と軽く考えていても、女の側は『殺される』という恐怖心から、声を上げることさえできないことがある。

 そういう被害者の恐怖心だとか、どれほど心にダメージを与えたか、それを理解しなければ反省はできません。『たまたま気の強い女に当たって不運だった』『駐車違反が見つかったようなもんだ』などと思っているようでは、口先だけの謝罪に終わるでしょう」

 精神科医の香山リカ氏(52歳)も「許したい」とは言うが、その難しさを指摘する。