雑誌
ユニクロ柳井正登場!日本人よもっと必死でカネを稼ごう 『フォーブス』誌が認定した日本一の金持ち
週刊現代 プロフィール

 尖閣諸島をめぐる領土問題もあって、中国へのビジネスに関して「チャイナリスク」が指摘されています。とりわけ、中国への依存を軽減し、他のアジア諸国に進出すべきだという「中国脱出論」がさかんに議論されていますね。しかし、中国なしの世界戦略などありえません。

 中国の人口は日本の10倍以上の13億人超で、いまも増え続けています。マーケットとしても、製造拠点としても、中国にはこれからも期待できる。利用しない手はない。感情的になるのは危険です。日本の製品を積極的に売り込み、日本の企業が活躍していかねばならないのではないですか。こういうことを言うと、また「ユニクロ栄えて国滅ぶ」と書かれたり、「売国奴」と言われてしまうんですけどね(笑)。本当に了見が狭い、情けない。

 日本の企業は、世界でどうすれば勝ち残れるか考える前に、まずグローバルに出て行かないといけない。そうやって挑戦する企業が少ないのが、残念でなりません。ピンチはチャンスなんです。

 ユニクロが生まれた私の故郷の山口県宇部市は、私が育ったころは、石炭バブルに沸いていました。しかしやがて石炭バブルは崩壊し、街の産業は衰退していきました。外に出ないと生き残れない。だから、宇部を出て広島へ、東京へと出ていき、世界にも店舗を広げていったのです。時代が変わるのですから、思いきってそこに飛び込んで、発展しなければいけない。

 宇部と好対照なのが、中国の上海です。私が初めて上海を訪れたのは'85年のことですが、街は薄暗く、日本人である私は、買い物をするだけで奇異の目で見られたものです。それがいまや、街には高層ビルが立ち並び、グローバルなビジネスの中心地となっている。この2つの都市の現状が、日本と中国のこの30年の歩みの差を表していると同時に、日中の将来も暗示しているように思います。

 グローバル化のなか、日本だけが分厚い中流階級を維持できる、そんなことは不可能です。孤立してガラパゴス化を選ぶというならわかりませんが、その前に、日本が潰れます。

 世界に国境は関係なくなっています。例えばこのコップ(手元にあったプラスティック製のコップをもちながら)を、日本で造るのと海外で造るのとでは、労賃が異なる。日本だけが高賃金で産業を続けられるなんてありえない。グローバルな競争の中で生き残って、かつ、豊かになることを考えなければいけない。そのためには、自分の仕事で世界中どこででも通用するようになる必要がある。私はそう思います。

「一億総中流社会」とか、会社に入れば終身雇用と手厚い年金制度で一生が保障されるという、いわば「幻想」の中にいたのが、いままでの日本でした。それに「乗っかる」ことができれば、生きていけた。