アメリカ大統領選では失業率が論争のメインテーマだ!経済政策を選挙の争点にできない日本のジャーナリズムの幼稚さ

 先月28日、ロイターで「シカゴ連銀総裁、政策変更の基準とする失業率を6.5%に引き下げ」という記事が配信された。

 日本のマスコミで、この記事が理解できる人はほとんどいないのではないか。なぜ金融緩和が失業率の低下(もちろんその時にはGDP増加、所得増加にもなっている)をもたらすかがわからない人は、11月26日付け本コラムを読み返してほしい。

 冒頭の記事は、犠牲率(インフレ率を低下させるためにはどの程度の失業率の上昇になるか)という概念が政策当局者で明確に意識されていることを示している。

欧米の大学生並みの経済知識すらない新聞記者

 もちろんエバンス・シカゴ連銀総裁は金融緩和論者である。アメリカではこの6.5%という数字に異論がある人もいるが、誰もが犠牲率の概念は共有している。だから、米国では金融政策はほとんど雇用政策として理解されている。

 ちなみに筆者の認識する米国の犠牲率は1%ポイントである。リーマンショック後インフレ率はほぼ3%上昇したので、失業率は10%から7%程度になって不思議でない。実際には10月の失業率データは7.7%だが、エバンス・シカゴ連銀総裁は7%より低く6.5%まで、インフレ率が目標の2%を大きく上回ることなく、下げられるという話であろう。 

 しかし、日本でこの話をするのはかなり難しい。なにしろ日本を代表する経済紙でも、まったく無理解なのだ。それから知識を得る人も当然ながら犠牲率という、欧米の大学レベルのこともわからない。筆者はテレビ出演でも、相手の無知をあげつらうような無礼なことは言わないつもりだが、金融政策に関するコメンテーターの知識は、欧米の中学生並だ。短い時間で中学生に大学レベルの話をするのは難しい。

 最近、マスコミの人の取材が多い。総選挙で話題になっている金融政策について、筆者が10年以上前から主張し、小泉・安倍政権では過去10年間で名目GDPが最高、失業率が最低、株価は最高、財政赤字は最低というスコアをたたき出した実績からであろう。

 その当時から、「成長したかもしれないが、格差が広がった」という反論を受けていた。格差のデータはかなり遅れて出るために、当時は有効な反論ができず、「成長でパイが大きくなったので、格差の縮小が可能で、そうなっているはず」というのが精一杯だった。

 ただ今では事実がはっきりしている。政権交代後の2010年9月1日に公表された、厚労省の「平成20年所得再分配調査報告書」によれば、格差を表す再配分所得(所得から税金・社会保険料を控除し、社会保障給付を加えたもの)のジニ係数は、1996、1999、2001、2005、2008年、それぞれについて、0.3606、0.3814、0.3812、0.3873、0.3758。小泉時代に格差が拡大したという数字ではない。

 また、社会保障や税による再配分改善度は、それぞれ18.3、19.2、23.5、26.4、29.3%と小泉政権のとき、改善度はむしろ高まっている。その結果、小泉時代には格差は拡大するどころか、縮小している。こうしたデータは、最近のOECDの報告書でも書かれている。

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