ドイツ
日本は危機管理が甘すぎる!! 「まさかそんな悪い人は・・・」「まさか事故など・・・」と思わず、すべてを徹底的に疑ってかかるべきでは?
フォルクスフェストの公式HPより

 私の住むシュトゥットガルトでは、毎年、秋にビール祭りが開かれる。このお祭りはフォルクスフェストという名で、各ビール会社が、ネッカー川の畔の広大な敷地に、それぞれ何百人も収容できるテントを設営する。ここにビール好きの市民が繰り出し、2週間あまり呑めや歌えの大騒ぎとなるのだから迫力満点。ドイツのビール祭りとしては、ミュンヘンのオクトーバーフェストに次ぐ規模だそうだ。

 フォルクスフェストでは、ビールのテントの横は仮設の遊園地となる。子供用のメリーゴーランドのようなのどかなものから、世にも恐ろしい超絶ジェットコースターや、落下やきりもみ回転付きのスリル満点ハイテク遊具まで、すべてがこの期間のためだけに組み立てられる。

ドイツは危機管理に優れた国なのでは?

 昔、このような大規模な遊具を、ばらばらにして大型トレーラーで運んできて、どうやるのかは知らないが、クレーンで巨大な支柱を立て、そのうちトンテンカンと作ってしまうことを知り、これは危ないと思った。穴を掘って基礎工事をしているわけでもないのに、何回転もするようなジェットコースターが、しっかり収まるはずがない! そこで、幼かった子供たちに諭した。

 「日本ではね、遊園地は常設なの。ちゃんと危なくないように管理されている。でも、ドイツのは、誰かがそこに持ってきて、置いているだけだから、いつ、ひっくり返るかわからない。乗ってはだめよ」

 最近、大人になった娘たちが3人でその話を蒸し返し、腹を抱えて笑いながら、私をバカにしていたが、そういえばドイツへ来て30年、ジェットコースターがひっくり返った話はまだ聞かない。それどころか今、私は、危機管理という意味では、ドイツはかなり優れた国なのではないかと思い始めている。

 ドイツにはTÜVという半官半民の第三者検査機関があって、ほとんどすべての機械の安全性を監督している。車も何年かおきにTÜVの車検を義務付けられていて、ナンバープレートにTÜVの合格証を貼っていなければ運転はできない。ちなみに遊園地の安全性も、やはりTÜVが検査するそうだ。ドイツではTÜVの力は強い。読み方はテュフ、訳せば"技術監査協会"。

 TÜVは、その昔、産業革命後の急激な工業化の中で誕生した。産業革命の立役者は、言うまでもなく蒸気機関であったが、当時、そのボイラーがあちこちで爆発し、多くの犠牲者を出していた。そこで、蒸気ボイラーを使っている工場主が共同で、自発的に安全性の監督機関を作ったのがTÜVの始まりだ。

 その後、TÜVの会員である工場での事故は画期的に減り、1871年には、TÜVの会員に限り国の検査を免除されたほどだった。と、ここまで調べて気がついたが、国の監督機関も一応はあったわけだ。しかし、そっちのほうはあまり効果のない、いい加減なものだったのか?

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