甲状腺ガンは3倍の可能性も!
小学校校庭の年間20mSv問題を告発した
小佐古内閣官房参与「辞任」
の裏に菅降ろしあり

 4月30日、小佐古敏荘内閣官房参与が辞任した。辞任の理由は政府の東京電力福島第1原子力発電所の事故対応への抗議だ。

 小佐古氏の辞任記者会見資料によれば、「1.原子力災害の対策は法と正義に則ってやっていただきたい」として、官邸の対応はその場限りであり、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の計算結果が活用されていないことなどをあげている。さらに「2.国際常識とヒューマニズムに則ってやっていただきたい」として小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvとしたことをあげている。

 SPEEDIについては、私も3月に出演したテレビで発言した。今回のような万が一の場合に備えてこれまで100億円以上の税金を投入してきており、その存在は関係者であれば誰でも知っていた。

 枝野官房長官の説明では、データが不十分なため使えなかったというが、その言い訳は怪しい。シミュレーションというのは、事故発生当初モニタリングデータが不十分な時にそれを補うものだ。これを活用しておけば、同心円状の避難区域より、風向きや地形などのよってきめ細かい避難誘導ができ、福島・飯舘村のような行き違いは回避できただろう。

子供の甲状腺ガンは3倍に

 小学校等の年間20mSvの問題はさらに深刻だ。4月29日テレビ朝日「朝ナマ」で石川正純北海道大学大学院教授が示したデータは、私にとってちょっとショックだった。
100mSv以上では各種のデータがあるが、20mSvでは確たることはいいにくいとの前提で、様々な見解をまとめると、甲状腺ガンの発がんリスクは年間10万人当たり0.3~2.6例であるという。

 子どもはもともとガン発症がきわめて少ない。ガン全体でも、10万人当たり10例未満だ。甲状腺ガンに限ると1例にもならない。それが年間20mSv浴びると、最大で3例くらい増加することになる。甲状腺ガンでは発がんは3倍程度、ガン全体でも3割程度押し上げるということになる。

 テレビ番組中では間違って発言すると影響が大きいので発言しなかった。番組後、石川先生に確認したところ、だいたいそのようなところのようだ。

 これをどのように評価するのかは人それぞれだろう。しかし、私は、辞任した小佐古氏の「通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用すべき」という意見はそのとおりだと思う。

 政府は、枝野官房長官が「小佐古氏には誤解がある」とか「水規制で小佐古氏は甘い提言をした」とか泥仕合になっている。

 ただ、小学校等の年間20mSvについては、原子力安全委員会が決めたことになっているが、正式な委員会を招集せずに文科省からの要請から2時間後に回答していたと報道されている。これが事実であれば、かなり問題だ。

 このように正式な委員会を経ないで決める方式を「持ち回り」というが、その場合、ほとんど事務局の意向通りになる。それぞれの委員のところに事務局の役人が資料を「持って回り」、委員の了解をとることが多いので、委員同士のやりとりが行われない。それに議事録もとられない。今回の場合、それほどの緊急性があったかどうか問題だ。緊急性より安全性が重要なはずで、「持ち回り」で済ました責任は問われるべきだ。

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