メイカーズ・ムーブメントが日本にもやって来る!

SFC Open Research Forum 2012 会場の様子

 11月22、23日に開催された「慶應義塾大学SFC 第17回 SFC Open Research Forum 2012」。坂井直樹ゼミからも、プロダクトデザイナーでもプログラマーでもない学生たちが、自ら手を動かし作り上げた作品を出展した。

ASHIKAKUボード
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 これは何より彼ら自身の努力と好奇心の賜物である。しかし同時に、いま世界を取り巻く時代の潮流も見逃せない。メイカーズ(モノを作る人々)・ムーブメントとも称されるもので、我々が自分のためにモノを製造し、作ったモノをほかの人たちも利用できる時代がすぐそこまで迫ってきている。

 かつては、消費者が普通に購入できる商品というのは、「大量生産に見合うこと」「大量流通に見合うこと」「消費者の目にとまること(広告、または最寄り店舗での販促を通して)」という三つの関門をくぐり抜けなければならなかった。

 しかし、工業機械の小型化・デジタル化とインターネットの普及が「工業の個人化(パーソナルファブリケーション)」を促進した結果、「欲しいものは自分たちでつくる」メイカーズ・ムーブメントが始まっている。

 実際、先日、坂井ゼミをアシストしてくれている若い講師に、「こういうプロダクトをつくりたいのだけれども、どの企業に相談すれば良いかな?」と訊ねたら、「大企業に持っていって時間をかけるより、自分たちで作った方が早いのではないですか」という答えが返ってきた。

「家庭化」が進む21世紀の製造業

 メイカーズ・ムーブメントを実感したければ、自分で何かモノづくりをはじめてみるとよい。直面する課題を解決していくプロセスが、あなたにこのムーブメントのポテンシャルを教えてくれる。

 電子工作の部品はどうするか? 基盤ならArduino(*1)が手軽に買える。変わった部品はAlibaba(*2)Amazon(*3)で探してみよう。

 プログラミングが分からない? Scratch(*4)で楽しく勉強してみてはどうだろう。ドットインストール(*5)なら3分動画でプログラミングを学べる。

 アプリを作るのが難しい? Titanium(*6)などのサービスがサポートしてくれる。

 CGを使いこなしたい? Processing(*7)openFrameworks(*8)adobeのソフト(*9)を使えば、ため息が出るようなCGアートも作れる。

(*1) AVRマイコン、入出力ポートを備えた基板、Arduino言語とその統合開発環境から構成されるシステム。
http://www.arduino.cc

(*2) 仕入れたい商材の調達、問屋を探せる卸サイト。
http://www.alibaba.co.jp

(*3) 世界最大のオンラインショッピングサイト。
http://www.amazon.co.jp/

(*4) MITメディアラボが開発中の子供向け教育用プログラミング言語環境。
http://scratch.mit.edu

(*5) 3分動画でマスターする初心者向けプログラミング学習サイト。
http://dotinstall.com

(*6) Appcelerator社によるクロスプラットフォームなアプリケーションの開発環境。
http://www.appcelerator.com/platform/titanium-sdk/

(*7) 電子アートとビジュアルデザインのためのプログラミング言語。
http://processing.org

(*8) 創造的なコーディングのためのC++のオープンソースツールキット。
http://www.openframeworks.cc

(*9) IllustratorやPhotoshopなどのAdobe Systems社のアプリケーションソフト。
http://www.adobe.com/jp/

 試作品はどう作るか? 3D Printer(*10)があれば、大概のものは自分で作れる。他の工作機械もfablab(*11)に行けば誰でも使うことができる。

 生産のための資金集めは? kickstarter(*12)などのクラウドファウンディングを利用してみてはどうだろう。

 一緒にモノづくりをする仲間を探してる? the HUB(*13)Facebook(*14)上のコミュニティに飛び込んでみよう。TED(*15)にアクセスすると、面白いアイデアを持った人たちがたくさんいることが分かる。

SFC Open Research Forum 2012 に作品を出展した坂井ゼミの学生たち

 販売ルートがない? Amazonなら良い商品を出品すれば世界中から顧客が集まってくる。そして驚くことに、こうした機械やコンテンツは、主にWeb上で無料か一般の人々でも手の届く価格で提供されている。

 このように、21世紀の製造業はアイデアとラップトップさえあれば誰もが自宅で始められる。さらにこうした「工業の家庭化」が進むことで、手料理をするような感覚で高品質のプロダクトやアプリケーションが作れる時代も夢ではない。

(*10) 3D CADなどのデータを元に3次元のオブジェクトを造形するデバイス。
http://scratch.mit.edu

(*11) 3次元プリンタなどの工作機械を備えた一般市民のための工房とその世界的なネットワーク。
http://fablabjapan.org

(*12) クリエイターがアイディアを公開し、賛同者を募り資金を集めることを仲介するサイト。
http://www.kickstarter.com/

(*13) 志とビジネスを結びつける共鳴のコミュニティ。
http://www.worksight.jp/issues/place/000051.html

(*14) 全世界に8億5000万人以上のユーザーを持つソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)。
http://www.facebook.com/

(*15) カリフォルニア州モントレーで年1回、講演会を主催しているグループ。
http://www.ted.com/translate/languages/ja
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