特集 東日本大震災 復興の今
石巻市の仮設焼却施設

昨年3月11日に発生した東日本大震災の甚大な被害を被った地域は2度目の冬を迎えている。道路や港などのインフラの復旧やがれきの処理などが進む一方で、津波被害から逃れるための高台移転などは、計画が作られたものの合意形成の調整や複雑な権利関係などが絡んで進展していない。国は今年度を「復興元年」として復旧を急いでいるが、今年10月時点で30万人を超す被災者が住み慣れた土地を離れて生活しており、復興との終わりなき戦いが続いている。生活支援や公共インフラ、産業再生などを中心に「復興のいま」をまとめた。

 今回のマグニチュード9の巨大地震は、世界的に見て1900年以降で4番目の規模とされる。人的被害も甚大で9月末現在の死者・行方不明者は1万8641人にのぼる。震災に関連した死者数も9月末に2303人で、うち66歳以上の高齢者が9割となっている。建物被害も全壊、半壊、一部損壊が計112万3632戸で、震災当初は約47万人が家を追われた。10月4日時点でも、仮設住宅や公営住宅、民間住宅に入居する避難者は計32万6873人を数える。

被災地はどこまで復興したか

◆生活支援◆

 被災者の生活支援は、どうなっているのか。日本赤十字社に寄せられた義援金は3610億円にものぼっており、9月21日現在で被災者に対して94%に当たる3202億円(131万8000件)が配分された。災害死亡者の遺族に配られる災害弔慰金も同日現在で、556億4500万円(1万8701件)が配布された。また9月末時点の「被災者生活再建支援金」も26万9314世帯に2192億円が配られている。

 被災者のための仮設住宅は、計約5万3000戸が作られ、多くの避難者は避難所から仮設住宅に移っているが、避難者の孤立化やコミュニティーの弱体化が新たな問題として持ち上がった。

住宅再建が遅れている。カラ―板をロボット型に組み立てたアートが取り付けられた仮設住宅壁面=岩手県宮古市で10月22日

 このため国は「地域支え合い体制づくり事業」(11年第1次補正予算70億円、第3次補正予算90億円)を始め、被災3県(岩手、宮城、福島)の仮設住宅に計115カ所の介護などのサポート拠点を設け、高齢者の相談に乗ったり、地域交流などを実施している。

 また高齢者や障害者、震災で離職を余儀なくされた若者層などが、地域とつながりを持ち続けることができるように「地域コミュニティー復興支援事業」(11年3次補正予算40億円)を立ち上げ、社会福祉協議会やNPO法人などと協力して、孤立防止のための見守り活動などを実施している。さらに被災3県に「心のケアセンター」を設置して、専門職による訪問支援なども実施している。

◆がれき処理◆

 東北から北関東までの太平洋沿岸500キロに及ぶ津波被害をもたらした東日本大震災は、推計で約1802万トンという膨大ながれき(災害廃棄物)を発生させた。海砂などの津波堆積物も推計で956万トンとされる。がれきは今年9月末現在で、全体の84%に当たる1515万トンが撤去された。

 被災3県には仮設の焼却炉計34基が設置され、同月末で27%の494万トンが処理された。コンクリート片などは、道路建設や海岸堤防の盛り土などの復興資材として再利用されている。また被災地以外の自治体に処理を依頼する広域処理も進んでおり、国は14年3月末までに処理を終えるという工程表を作っている。

 一方で、原発事故による放射線被害を受けている福島県では、焼却灰の処分先の確保や、仮設焼却炉の用地の確保などが課題となっている。

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