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週現スペシャル 医者にも好き嫌いがあるその一言で嫌われる 「得する患者」と「損する患者」ここが分かれ道です

 医者はどんな患者にも平等—これは、医者の中では「非常識」だという。事実、取材した医師のほとんどが、患者によって対応も違えば、治療効果も違ってくると語った。医者たちの本音をお届けする。

末期がんを見過ごされた

 Aさん(70歳)は、背中から腰にかけての痛みを感じ、病院を訪ねた。レントゲンを撮ってぎっくり腰と診断されたのだが、治療を続けてもよくならない。1年半後、痛みはますます強くなり、Aさんの希望でCTを撮ることになった。すると、肺がんが発見された。背中の痛みは、肺がんが脊髄にまで転移していたためだったのだ。しかし、その時はステージ・まで進行しており、すでに手術もできない状態だった---。

 医療コンサルタント・吉川佳秀氏が実際に相談を受けた患者のケースである。

 なぜがんを発見できなかったのか。「もちろん、見抜けなかった医師の責任は大きく、このような医者に当たってしまったことはかなりの不運だったのですが、Aさんの側にも問題がなかったとは言えないんです」(吉川氏)という。Aさんが「損する患者」の数々の要素を持っていたからだ。

 そもそも、同じ病状の患者であっても、自身の振る舞いや病気との向き合い方で得する人もいれば、損する人もいる。患者の病気を治すために最善を尽くすのが医者の使命であっても、医者だって人間。向き合う相手によって、対応が違ってくることだってある。それにより、患者が「損」をすることも出てくるわけだ。

 病気を患ったとき、できるものなら損はしたくないと思うのは至極当然。「得する患者」と「損する患者」の分かれ道はどこにあるのか、明らかにしていこう。

 冒頭のAさんについて、吉川氏が言う。

「この方の問題は2つあります。まず、病院を4度も転院していたこと。そして、病気のことを理解しようとしていなかったことです」

 まず、病院を何度も転院することで、どんな損をするのだろうか。

「これは、いわゆるドクターショッピングです。たとえば、テレビで紹介された名医がいると、そこにとびつき、病院を次々に移る患者さんは多い。きちんと紹介状を書いてもらって病院を移るのであればいいのですが、勝手に病院を移ると、過去の病歴や症状がわからず、正確な診断や治療を行うことが難しくなってしまうのです」(東京慈恵会医科大学附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科の西村理明医師)

 さらに、転院を繰り返す間に病気はどんどん進行する。肺がんの専門医で、化学療法研究所附属病院副院長の小中千守医師が言う。

「がんの診断が下されると、動揺され、いろいろな病院を回って時間をロスしてしまう人がいます。最終的にはステージⅠだった人がⅢまで進行してしまうこともあり、非常に残念です。自ら治癒の可能性を下げていることになるのです」