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みんな悩んでいる 人を育てるのはなぜこんなに難しいのか 藤浪クンが入団する阪神タイガースの場合

2012年12月06日(木) 週刊現代
週刊現代

 阪神が、ドラフトで競合した選手を抽選で引き当てるのは、27年ぶりだというから、藤浪の入団は、ファンにとって「待ちわびた春」に違いない。ただ、不安だ。このチーム、とびきり育成が苦手なのだ。

高卒ルーキーの墓場なのか

「球団をあげて一流選手に育てる責任があります」

 4球団が競合した藤浪晋太郎(大阪桐蔭)の交渉権を獲得した阪神の中村勝広GMは、ドラフト会議終了後、報道陣の前でこう語った。

 身長197cm、最速153km。甲子園春夏連続の優勝投手は、間違いなく「球界の金の卵」だ。

 しかし中村GMの宣言とは裏腹に、いま阪神ファンは、大きな期待と同じぐらいの「不安」を抱えているという。

「心配なのは、10年とか20年に一人と言われている才能を、タイガースが潰してしまうんじゃないかということです。なにせ、こんな大物の高校生が入団してくるのは、本当に久しぶりのことですから」(在阪スポーツ紙デスク)

 不安はもっともかもしれない。阪神はお世辞にも「育成がうまい球団」ではないからだ。

「阪神は長年下位に低迷してきたため、育成にかける時間も手間もなかった。企業に例えるなら中途採用とヘッドハンティングばかりに力を入れてきたチーム。ドラフトでも『即戦力』重視のために、大卒・社会人が上位を占め、今オフも西岡剛を獲得するなどFAも多用してきた。その一方で、高卒で主力にまで育った生え抜きは、この数年では皆無に等しい」(前出・デスク)

 2000年以降、阪神はドラフトで86名(育成除く)の選手を指名しているが、そのうち藤浪のような高校生投手は13名だけ。1位指名に限定すると、指名制度が高卒と社会人・大卒で分かれていた'05年の鶴直人に限られる。

 同リーグの広島が、'00年以降に大竹寛('01年)や前田健太('06年)、今村猛('09年)など、5名の高卒ドライチ投手を獲得し、軒並み主力に育て上げているのと比べれば、阪神の「育成下手」がよく分かるだろう。

 そんな球団が、「球界の宝」をどのように育てようとしているのか。そこには、一般社会にも通じる「人材育成の難しさ」が詰まっている。

「育成という面では、一番下手な球団に入ったと、僕は思います」

 真っ先に、心配を口にするのは、ちょうど20年前、'92年のドラフトで1位指名を受け、高卒で阪神に入団した安達智次郎氏だ。彼は一度も一軍のマウンドに上がることなく、1年だけ野手に転向した後、25歳だった'99年に戦力外通告を受け引退している。

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