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小泉内閣で内閣官房副長官を務めた安倍氏(写真は2003年3月)〔PHOTO〕gettyimages

安倍: その時、小泉総理と私と日銀の福井総裁、武藤敏郎副総裁さんの4人で昼食をともにする機会がありました。そこで福井総裁に内閣側からお願いしようとしたのです。小泉総理から直接ではなくて、私が言ったほうがいいだろうということで、「もうしばらく量的緩和を続けてもらえないだろうか」という話を私がしたのです。

 ただ、当時は私も、「そうはいっても、この人たちはみんな金融の専門家だから、日銀の言うことが正しいのかもしれない」ということが頭にありました。しかし、その後、自分が総理になり辞めてしばらく経って、これまでのファクトの積み重ねをふりかえって見ると、必ずしも彼らが正しくなかったということが分かってきました。

浜田: そう正直に言っていただき、とてもうれしく思います。

財務省は政策を誤っているのではないか

安倍: それから、財務省の財政規律に重点を置き過ぎた、あの姿勢も、やはりちょっと違っているのではないかと気がついたのです。彼らの姿勢というのは、政治家に対し、もっと責任感を持てというか、そういう気持ちに訴えるところがあるんですよ。使命感を呼び起こす的なところがある。

 それで、やはり財政規律はちゃんとやらなければいけないということに傾いていくことになるのです。

 世の中には、政治家は選挙が怖いからバラマキに陥りがちで、財政の引き締めなどできないというイメージがあります。それに対し、「自分は違う」ことを証明したいという気持ちが政治家には生まれてくる。その気持ちと相まって、専門家集団を集めている財務省の裏付けがあることが、政治家を後押しするのです。

 しかし旧大蔵省、財務省というと専門家集団で政策にくわしいという固定観念があるんですが、事実をずっと見てくると、むしろ肝心なところで政策を誤っているんではないかという疑念が芽生えてきます。

 安倍政権のとき、平成19年の予算編成では54兆円くらい税収があったんです。これは成長の成果です。もしあの段階でデフレから脱却していれば、これは一気にプライマリーバランスの黒字が出るまでいったんではないかと思うわけです。

次ページ 浜田: そうですね。少なくとも…
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