自律的ロボット兵器の脅威と、その開発禁止を訴える人権団体

米軍の無人偵察機「Predator B」〔PHOTO〕gettyimages

 世界的な人権団体のHuman Rights Watch(HRW)が先頃、奇妙なレポートを発行した。"Losing Humanity: The Case Against Killer Robots(人間性の喪失:殺人ロボットを許すな)"と題されたそのレポートは、文字通り「人を殺すロボット」の開発禁止を訴えている。

 同レポートによれば、米英やイスラエル、韓国など一部先進国では、政府主導で高度の自律性を備えた兵器の開発に注力し始めており、この傾向が野放しにされると、いずれ「自らの判断で(つまり人の判断に頼らずに)人を殺す軍用ロボット」が開発される可能性が十分あるという。

ロボット兵器の自律性を3段階に分類

 現時点でも、高度の自律性までは備えていないが、遠隔地から操作できるロボット兵器であれば既に使われている。最もよく知られているのは、米ペンタゴンの無人軍用機「プレデター(Predator)」だろう。プレデターは元々、空からの偵察用に開発された無人飛行機で、遠隔地から米軍の兵士(つまり人)が無線操縦している。

 当初、プレデターは機体に武器を備えていなかったが、一説によると、かつてオサマ・ビン・ラディンを上空から確認しながら、みすみす取り逃がしてしまった。これを契機に、ビン・ラディンのようなターゲットを見つけたら、その場で攻撃できるように、ミサイルなどの武器を装備するようになったと言われる。ただし、攻撃をするための決断と操作は、あくまで遠隔地からプレデターを操縦している人間の手に委ねられる。

 上記HRWのレポートでは、このプレデターのようなロボット兵器を、

①"Human-in-the-Loop Weapons(人間が操作の一環に組み込まれている兵器)"

 と分類している。つまり「人間を攻撃するような操作は必ず人間が行う兵器」という意味だ。

 これに加えて、あと2つのカテゴリーが記されている。それは:

②"Human-on-the-Loop Weapons(人間が操作に関与できる兵器)"
③"Human-out-of-the-Loop Weapons(人間が操作できない兵器)"

 の2つだ。

 ②は①の"in"が"on"に入れ替わっただけだが、実はこの違いは非常に大きい。つまり②の場合、基本的にはロボット自身が敵を殺す判断を下し、遠隔地にいる兵士(人間)はそれを監視しているに過ぎない。そして、もしもロボットが間違って敵の兵士ではなく民間人などを殺そうとした場合には、人間がそれにストップをかけることができる。つまり①に比べて②では、ロボット兵器の自律性が格段に高まっている。

 しかし、もっと恐ろしいのは③である。これは文字通り、ロボットが完全に自分だけで攻撃などの判断を下し、そこに人間が関与する余地はない。

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