円安の背景にあるのは日銀の金融緩和に対する期待だけなのか?
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 先日、ベテラン為替ディーラーと話をしていたら、彼が気になることを言っていた。それは、「安倍・自民党総裁の金融緩和要請だけで、これだけ円安に振れるだろうか?」という素朴な疑問だ。為替市場で長年生きてきた彼の経験から考えて、「他にも何か要因があるはずだ」というのが彼の感覚なのだ。

 最近、特に動いていたのは、ヘッジファンドなど足の速い投資家が中心だ。彼らは情報に対していつでも敏感に反応して、素早くポジションを変えることで知られている。その彼らが、ここへ来て活発に動いている。確かに彼でなくても、「何か、気が付いていないことがあるかもしれない」と考えたくなる。

テクニカルにも円高転換の材料

 足許の為替市場の材料を分析すると、テクニカルにも円高が転換する要素がみられる。まず、元々、円高傾向は長くても5年程度で転換点を迎えることが多かった。今回の円高の出発点を2007年ころとみると既に5年経過しており、過去のすう勢が生きるとすれば、そろそろ転換点を迎える時期に来ている。

 また、わが国経済の基礎的な要因=ファンダメンタルズを見ても、足元で、わが国の貿易赤字の体質が定着しつつあり、ドル・円の需給に変化が出てもおかしくはない。それに加えて、今後、日銀が一段の金融緩和策を実施することが期待されている。

 ヘッジファンドなど投機筋が、そうした条件の変化を敏感に感じて円売りを仕掛けることは十分に考えられる。恐らく、そうした状況を考えると、円高に変化が生じること自体、自然なことと言えるだろう。

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