[MLB]
佐野慈紀「メジャー1年目の岩隈、山あり谷ありのワケ」

 今季、メジャーリーグで活躍したピッチャーと言えば、16勝11敗でヤンキースの地区優勝に大きく貢献した黒田博樹、ルーキーながら16勝(9敗)を挙げたダルビッシュ有(レンジャーズ)。そして先発投手として起用され始めた夏以降、本来のピッチングを取り戻し、9勝(5敗2S)をマークした岩隈久志です。今回は前半と後半とでは別人のようだった岩隈について触れたいと思います。

 岩隈が前半、結果を残すことができなかった最大の要因は、ボールやマウンドといったメジャーリーグそのものになじむことができていなかったからです。それはどこか一つというわけではなかったと思います。ボールとマウンドの違いによって、指の感覚から足のステップまで、体のあらゆる部分に、ほんの少しずつのズレが生じていたのです。その対応が岩隈自身が予想していた以上に遅かった。そのために、自分のイメージと実際のボールが異なっていました。

 それが前半の岩隈の不調の原因です。コントロールのいい岩隈ですが、前半は通常よりも2つほどもボールが高く、伝家の宝刀であるフォークもワンバウンドしませんでした。高低差が使えないことで、本来のモノとは程遠いピッチングしかすることができなかったのです。

 被本塁打が少ないことで有名な岩隈ですが、最初の4試合(12イニング)で3本もの本塁打を打たれています。その原因は、何だったのでしょうか。「メジャーのバッターは、高めはほんまによう打つわ」と、野茂英雄や長谷川滋利がよく言っていましたが、メジャーリーガーは高めの球を絶対に見逃しません。ですから、岩隈がそれだけ本塁打を打たれたのは、やはりボールが高かったことに尽きます。