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中国共産党大会 現地ルポ 習近平が仕掛ける 「ニッポン外し」
11月14日に閉幕した中国共産党大会での真の勝者とは---〔PHOTO〕gettyimages

これからも反日で行くぞ!

「海洋資源開発能力を高めて、断固としてわが国の海洋権益を守る!」

 11月8日に北京で開幕した第18回中国共産党大会。10年間にわたり中国のトップを務めた胡錦濤(69歳)は、世界が注目するこの場で、過去5年間を振り返り、今後の目標と課題を挙げる「活動報告」を行った。

 計101分間にわたって読み上げられた「活動報告」。「2020年までに中国のGDPを、2010年の2倍にする」「新エネルギーや省エネ、再生可能エネルギーの発展に寄与する」といった目標が次々と挙げられたが、なかでも日本人が特に留意しなければならないのが、冒頭の「海洋権益を守る」発言である。2007年に行われた第17回共産党大会では使われなかった表現で、尖閣諸島を巡って衝突を続ける日本を牽制するために、あえてこの言葉が盛り込まれたことは誰の眼にも明らかだった。

 繰り返しになるが、活動報告は〝次期指導部に引き継ぐ目標や課題〟である。尖閣をはじめとする領土問題が、次期指導部においても〝重要課題〟として扱われるのは間違いない。

 そしてこの活動報告から1週間後の11月15日、北京時間午前11時。習近平・新総書記(59歳)は、晴れ晴れしい表情で人民大会堂の東大庁に現れた。習近平は、この日新たに中国共産党中央政治局常務委員、いわゆる「トップ7」になった6人の〝部下〟を、一人ずつ記者団に紹介した。

「李克強同志、張徳江同志、兪正声同志、劉雲山同志、王岐山同志、張高麗同志」

 これで中国政界は、「革命第5世代」と呼ばれる習近平体制への移行を完遂したのだった。では、習近平時代となり、中国は一体どう変わるのか。尖閣問題という火種を抱える日本にとって、この変化を捉えることは非常に重要である。

 この日、習近平が行った演説の中で着目すべきは、「中華民族は5000年の歴史を持つ偉大な民族だ」と自賛した後に、「中華民族は最も危険な時期に至った」と述べたことだ。これは中国の国歌であり、抗日の歌でもある「義勇軍行進曲」の中の一節で、この一節の後、「誰もが最後の砲声を撃ち上げるのだ」(日本と戦うのだ)と続く。

 つまり、誰もが知る抗日の歌の一部を引用して「これからも反日で行くぞ!」と国民を鼓舞したのだ。その後も「偉大なる中国を復活させるのだ!」と繰り返した。まるで毛沢東の復活を見ているようである。

 習近平はさらにこうも続けた。

「中国は近代以降、民族の困難な時を迎えた。無数の志士たちが抵抗を試みたが、何度も何度も失敗した。

 中国共産党が成立して以降、人民を団結させ、導き、必死に戦い、貧しく遅れた古い中国を日増しに向上させ、繁栄と強大な新中国へと導いた・・・・・・」

 近代以降の困難とは、言うまでもなく日本に侵略された歴史のことを指している。団結して日本に対抗した記憶を思い出し、強い中国を実現しよう、と訴えたのだ。この演説から、習近平が「反日路線」を突き進むことは明らかだ。

 実は、習近平は去る9月に、尖閣問題を扱う中国の新たな機関である「対日工作調整委員会」のトップに就任していたことが明らかになっている。このことからも、今後日本に対して強気な姿勢で臨んでくることは疑いの余地がない。

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