プロ野球 戦力外通告 トライアウトにかけた男たち「もう一度野球がしたい!」

 今年も、多くの選手が戦力外通告を受けた。そして、例年通り行われた12球団合同トライアウト。20代の若者も、40歳を超えた超ベテランも、ひとしく泥にまみれる。「野球がしたい」、その一心で。

これで4度目の通告

 柔らかいフォームで投じられた13球からは、気負いも力みも感じられない。

 それでいて44歳の木田優夫は、打者4人に対して被安打ゼロ、1四球で終わった自身の投球を、

「プロ野球のユニフォームを着て投げられるのは、最後かもしれないと思って投げました」

 と振り返る。

 その言葉は、この日の参加者すべての心情を、代弁しているかのようだった。

 今年の12球団合同トライアウトは、今月9日に第1回が行われ、会場となったクリネックススタジアム(Kスタ)宮城には、56名の「戦力外通告」経験者が集まった。

 トライアウトは、かつてNPBの球団に所属した選手であれば誰もが参加できる。しかし、昨年のトライアウト参加者59名の中で、開幕時にプロのユニフォームを着ることを許されたのは、わずか7名。今年は15日現在、再就職が決まっているのは、星野智樹(西武→楽天)、ただ一人だ。

 だが、木田はこうも言う。

「プロは、いくら本人がやりたいと言っても、求められなければ続けられない」

 '86年のドラフト会議、巨人の1位指名で始まった木田のプロ生活は、日米合わせて7球団、26年に及ぶ。そして「戦力外」は、今回の日本ハムで4度目だ。

 トライアウトに集まるのは、多かれ少なかれ、そんな挫折を抱えた者たちだ。彼らはどんな覚悟をもって、運命の日を迎えたのか。

 ある球界関係者が、

「日本ハムには、球界を代表する二人の『野球小僧』がいる。一人はダルビッシュ有(当時)、もう一人は木田優夫だ」

 と話していたことがある。

「あんなに野球が好きな人は他に知りません」

 木田のかつての同僚も、こう証言する。