雑誌
アナリスト10人に聞きました パナソニックとシャープこの会社に明日はあるのか

 アップルやサムスンに打ちのめされた〝日の丸家電〟。超円高や人件費など、外部要因は種々あれど、失敗の本質は経営力の不足だ。長年、業界をウォッチしてきた専門家が復活への鍵を分析する。

もう言い訳はできない

「うろたえては、かえって針路を誤る。そして、沈めなくてよい船でも、沈めてしまう結果になりかねない。嵐のときほど、協力が尊ばれるときはない」

 松下電器の創業者・松下幸之助翁はかつて企業を船にたとえてこう言った。危機に瀕したときこそ、社員が一致団結して協力することが重要だと説き、安易なリストラを戒めたのだ。

 今のパナソニックに幸之助翁の教えは活かされているのか。

 11月15日、パナソニックが'12年度に1万人を削減すると報じられた。昨年度の約3万6000人に引き続き、2年連続の大型リストラとなる。社内からは、

「ディスプレイ部門の工場や事業内容が重複している部門から人員削減をしていくのでしょう。すでにリストラから逃れるために、社内リクルート活動が活発になっています。赤字見通しの発表から覚悟はしていましたが、またか、という感じですよね」(同社中堅社員)

 と諦めの声が上がる。

 今期の業績見通しで7650億円の巨額赤字を発表し、昨期と合わせて計1兆5000万円もの〝資産〟を吐き出したパナソニック。片や経営再建中のシャープは、米半導体大手インテルなどから400億円規模の出資話が報じられたが、市場は反応せず、株価は160円台と低迷を続ける。8月の5000人に続き、11月も2000人の人員削減を行い、ますます事業規模が縮小している。

 両社とも、現状では財務改善の特効薬としてリストラ以外に打つ手がないのが実状だろう。そんな日本の製造業の屋台骨を支えてきたパナソニックとシャープに明日はあるのか。アナリスト10名(経験者含む)が分析する。

[現在の株価は妥当か]

 両社の株価はリーマンショック後、一貫して下落を続けてきたが、これは業績悪化が単に市場の循環によるものではないことを物語っている。カブドットコム証券のチーフストラテジスト・河合達憲氏は状況をこう分析する。

「構造的に日本のデジタル家電業界が逆風の嵐に突っ込んでいるからです。極端にいえば、スマートフォンがあればデジタルカメラも携帯音楽プレーヤーもICレコーダーも必要のない時代になった。スマホ市場でアップルやサムスンに歯が立たない両社が業績を劇的に回復させるのは、まず無理です。よほどドラスティックな変貌をとげない限り、株価低迷は相当長期化すると考えざるをえません」

 パナソニックの津賀一宏社長は中間期決算発表の場で、'15年度まで売り上げの成長を追求しないと明言。これに株式市場は落胆したと経済・金融アナリストの津田栄氏は言う。

「今後3年間、成長しないというのですから、株価の値上がりは当面期待できないでしょう。むしろ値下がりのリスクさえあります。中国工場での生産が激減しているため、業績のさらなる下方修正があるかもしれないからです。ただ、これは会社の責任というより、尖閣諸島を国有化した政府の責任なので、気の毒ではありますけどね」

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら