任天堂Wii U、米国市場での出足は好調だが、先行きは不透明

〔PHOTO〕gettyimages

 任天堂のWii Uが日本より一足早く、今月18日に米国で発売された。前評判の高さからか、発売開始早々、売り切れになる小売店舗が続出しているようだ。

 そうした中、米国のメディアは「Wii Uの出足は好調だが、先行きは不透明」と見るなど、若干、気難しい論調が目立っている。

 たとえばニューヨーク・タイムズ紙は"Game Controller Marries Tablet" という記事の中で、「Wii Uは、元祖Wiiが6年前に巻き起こした『とてつもなく新しい何かが地球上に生まれた』というセンセーションには程遠く、むしろアップルがアイフォーンやアイパッドで作り出した生活様式に順応した製品である」と評価した上で、「(Wii Uについているタブレット型コントローラの)Game Padは(元祖Wiiの)モーション・コントロール・リモコンほど操作が単純ではないため、(元祖Wiiのように)孫からお爺ちゃんまで家族揃って遊べるような商品ではない」と見ている。

 またウォールストリート・ジャーナル紙は"Nintendo's Wii U Puts Hardware Strategy to the Test" という記事の中で、Wii Uのビジネス・モデルに着目し、「昨今のゲーム業界が、スマートフォンやタブレット向けの『無料ゲームとゲーム内課金」という方向に舵を切る中、任天堂は頑としてそれに背を向け、(一般的に60ドル位で販売される)従来の売り切り型ゲーム・ソフトのビジネス・モデルを守り続けている」と強調する。

 もっとも、それは必ずしも否定的な見方ではなく、むしろ「どっちのやり方が正しいかは歴史が証明してくれるだろう」(任天堂の岩田聡社長)というコメントを掲載するなど、もうしばらく様子を見ないと分からない、というスタンスである。

逆風下でどこまで売り上げを伸ばすか

 Wii Uは競合するスマートフォンやタブレットなどに対抗するため、HTML5対応のウエブ・ブラウザやビデオ会議機能も搭載するなど、ゲーム機でありながら、かなりの汎用性も備えている。当然、その開発製造コストはかさむ。

 Wii Uは小売価格299ドルからで発売されるが、よく知られているように、この値段では「逆ザヤ」、つまり売れば売るほど赤字になることを任天堂自身が認めている。値段を安く抑えて、なるべく沢山のハード(ゲーム機)を普及させ、そのユーザー基盤の上に(比較的、利ザヤの高い)ゲーム・ソフトを売って投資を回収するやり方は、ゲーム業界の常套手段だが、こと任天堂については、「過去にそうしたやり方を嫌ってきたため、不安が残る」(WSJ)との見方もある。

 また、Wii Uのような新型ゲーム機が売れるためには、いわゆる「キラー・タイトル」と呼ばれる爆発的なヒットを飛ばすゲーム・ソフトが必要だ。元祖Wiiのときには、その発売当初から「Wii Sports」というキラー・タイトルに恵まれたが、今回のWii Uではまだそうしたソフトは見当たらない。

 ただしゲーム開発の難しさは、どこの国のユーザーも承知している。ニューヨーク・タイムズ紙は「賢いユーザーはゲーム機の発売と同時にリリースされるタイトルではなく、将来リリースされるタイトルがどんなものになるかを想像してゲーム機を買う(だから任天堂はそんなに焦る必要はない)」と述べた、別の記事も掲載している。

 NPD Groupの調査によれば、米国のゲーム市場(ハード、ソフト、アクセサリーなど全てを含む)は今年10月、前年同期比で25%も落ち込んだ。これから歳末商戦に入るとは言え、そうした厳しい環境下で、Wii Uがどれほど売上を伸ばすか、そこに任天堂の将来がかかっている。

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