若者を呼び戻す「儲かる漁業」は夢ではない! 「6次産業化」と「資源管理」を訴える三陸漁業生産組合の取り組みをレポート

三陸漁業生産組合の瀧澤英喜組合長(中央)

 「漁業に若い人を呼び戻すのは簡単だ。漁業を儲かる産業にすればいいんだ」---岩手県の三陸漁業生産組合の瀧澤英喜組合長はこう語る。

 瀧澤氏によれば、岩手県の漁業者の4割は販売金額が300万円未満の低所得で、4割が60歳以上の高齢者だという。重労働で低収入となれば漁師の息子ですら跡を継がない。何とか儲かる漁業を作り上げていきたい。そんな思いで、漁獲から加工・販売までを一貫して行う「6次産業化」に取り組む生産組合を今年5月に立ち上げた。

 参加したのは漁業者10人。大船渡市越喜来から7人、大船渡から1人、釜石から2人が加わった。水産業協同組合法に基づいて岩手県に申請。岩手県内で、漁業者による生産組合が認可された初のケースとなった。

国の支援を当てにしていてもダメだ

 まず取り組んだのがタコの生産加工販売。組合員がカゴ漁で獲ったタコを、煮ダコなどに加工、それを鮮度を保つことができる急速冷凍機(CAS)で冷凍して、都会の居酒屋など飲食店や一般の消費者向けに直販するのだ。

 ちなみに、一般の消費者向けには地元のネット直販会社「三陸とれたて市場」(八木健一郎代表)を通じて販売している。「三陸とれたて市場」は2001年にスタート。2004年に法人化した。今や、三陸を代表する有名産直サイトだ。

 最初の「取り扱い商品」をタコに定めただけに、生産組合のイメージキャラクターもタコにした。商品に貼るラベルやメンバーが持つ名刺にも真っ赤なタコが描かれえいる。

ケツブの煮付け

 タコの漁期が終わった秋以降は、新しい食材開発に取り組んでいる。地元で「ケツブ」「サクラガイ」と呼ばれるツブ貝の一種をむき身にして冷凍パックにしたものを、居酒屋向け食材として開発。試験的に都会の飲食店に出荷している。さらに三陸に戻ってくるサケを漁獲し、加工品の製造・販売なども行いたいとしているが、漁獲許可など越えなければならないハードルは高いという。

商品の冷凍ケツブを手にする瀧澤氏

 東日本大震災ではこの地域の漁業設備も大きな被害を受けた。船や漁具を失ったり、冷蔵庫を流されたりした。「国の支援を当てにしていても中々俺たちのところには来ない」と腹をくくって、自ら生産組合を立ち上げることにした、という。そうした姿勢が多くの共感を呼び、ヤマト福祉財団などから支援が寄せられた。

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