バーナンキ議長も否定した中央銀行「目標の独立性」に固執する野田首相では景気はよくならない!「安倍期待相場」ではやくも市場が動き始めた

2012年11月19日(月) 高橋 洋一
upperline

 自民党の安倍総裁は、日銀法改正を検討する考えを表明している。日銀法改正の内容として「政府とともにインフレターゲット(物価安定目標)をちゃんともっていくこと。雇用に対して責任を負うことだ」と指摘した。また、2─3%のインフレ目標を設定し、無制限の金融緩和を行うべきだと主張している。さらに、来年4月に任期が切れる白川方明(しらかわ・まさあき)日銀総裁の後任には、インフレターゲットに賛成している人物を起用したい考えを明らかにした。

 こうした動きについて、野田佳彦首相は、「政府が金融政策の目標を定めるという主張なら中央銀行の独立性との関係で問題だ」と批判している。

「目標の独立性」を否定したバーナンキ議長

 中央銀行の独立性という言葉が出ると、マスコミは思考停止状態になるので、その意味を解説しておこう。そのよい教材は、2010年5月26日、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長が日銀本店で講演した「中央銀行の独立性、透明性と説明責任」だ。

 実は、かつて筆者はプリンストン大時代にバーナンキ議長(当時は教授)に大変お世話になった。その当時から、日本では中央銀行の独立性が誤解されているので、ぜひ日本に来たら独立性の話をしっかりしてくれと頼んでいた。おそらく筆者の希望をバーナンキ議長はかなえてくれたのだろう。

講演のはじめに「金融政策の目標は政治的に設定されるが、目標達成へ金融政策をどう実行するかは、政治的なコントロールから自由であるべきだとの幅広いコンセンサスが世界的にできあがってきた」と述べている。

その後に「『目標の独立性』(goal independence)と『手段の独立性』(instrument independence)の違いは有用だ。中央銀行が自由に目標を設定できるという目標の独立性を民主主義社会で正当化することは困難だ。しかし、今日これから話すように、中央銀行が干渉を受けずに適切な金融政策を実施できるような手段の独立性は、経済安定のために極めて重要だ」としている。

つまり、バーナンキの独立性とは手段の独立性だけを指している。この点、白川方明日銀総裁のスピーチでは、単に独立性というだけで、あたかも目標の独立性まで含んでいるかのような話だったことと好対照だ。

ちなみに、現在の日銀法は、目標の独立性まで日銀に与えており、バーナンキのいうように民主主義社会では正当化できないものだ。この点を私はバーナンキ本人に説明したことがあり、彼もよく承知している。

次ページ 野田総理は中央銀行の独立性を理…
前へ 1 2 3 4 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事