スポーツ

二宮清純レポート 特別版
ダルは出ない 4番もいない日本代表チームの監督
山本浩二 火中の栗を拾う覚悟

2012年11月19日(月) 週刊現代
週刊現代

 先行き不安な船出だ。ダルビッシュ不参加に加え、4番も不在。しかし監督は「ミスター赤ヘル」。王貞治の引退以降、5年連続40本塁打以上も、3年連続で打点王に輝いた男も彼しかいない。誰よりもチャンスに強い男は、この難局をどう乗り切るか。

できる限りの準備をしておく

 「究極の目標はレンジャーズのワールドシリーズ制覇に貢献し、その成果を日本のファンと分かち合うこと」

 3連覇を目指すWBC日本代表(侍ジャパン)のエースと目されていたダルビッシュ有(レンジャーズ)が、来春開催のWBCへの不参加を表明した。新生侍ジャパンは、いきなり出鼻をくじかれた格好だ。

 今季、メジャーリーグでダルビッシュと並ぶ日本人最多の16勝をマークした黒田博樹(ヤンキースFA)も代表入りの打診に、「シーズンが終わったばかりで疲れている。来年のことまで考えられない」と態度を保留したという。

 11月7日付のスポニチ紙には、2人の他、岩隈久志(マリナーズ)、イチロー(ヤンキースFA)、青木宣親(ブルワーズ)、川崎宗則(前マリナーズ)らからも参加表明がないことを受け、〈WBC本戦 メジャー侍 全滅危機〉の見出しが躍った。

 「いろいろと頭の痛い問題があるわ・・・・・・」

 苦笑を浮かべて代表監督に就任したばかりの山本浩二は切り出した。

 「メジャーでプレーしている何人かの選手には、こちらから直接、連絡も入れている。しかし、なかなか色よい返事はもらえないな。(WBCに)出るか出ないかは、本人の意思だけじゃなく球団の考えもあるからね。しかし、(選手選考が)難航するのは、ある程度、予想されたこと。今はとにかく、やれる準備だけはしっかりやっておこうと。先のことを考えたら、何もできんよ。いい意味で、開き直ってやるしかないと思っている」

 広島で延べ10シーズン指揮を執り、北京五輪では星野ジャパンの守備走塁コーチを務めた山本の名前が、初めて代表監督候補としてメディアに浮上したのは9月5日である。スポーツ報知が〈最有力候補は「ミスター赤ヘル」こと、山本浩二氏だ〉と報じたのだ。

 しかし、その後、監督選びは二転三転する。「現役(監督)の重要性が認識されている局面と感じている」とNPB(日本プロ野球組織)の加藤良三コミッショナーが発言し、それを受け、いくつかのスポーツ紙は1面で福岡ソフトバンク・秋山幸二監督の代表監督就任を報じた。

 山本の心境はいかばかりだったか。

 「あぁ、これはもうないなと思ったよ。現役がやるんやろうと。ただし、もしワシのところにきたら、断る理由は何もなかった。これは誰かがやらんといかん仕事やと思っていたからね」

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