雑誌
第3部 日本企業 われわれはどうしたらいいのか 中国・韓国にもう勝てない
置いていかれたニッポン 世界の経済はルールが変わっていた!
世界の家電見本市では、李健熙会長率いるサムスンなど中韓勢の勢いが目立つ〔PHOTO〕gettyimages

スピード感が違いすぎる

「日本の製造業が老衰の淵で死にあえぐのは、感情としては忸怩たるものがあるが、産業史の必然だ。ソニーの今回の決算にしてもシャープやパナソニックよりましだと言われているが、黒字を出しているのは映画、音楽、金融部門であり、モノづくり企業としては慘澹たるもの。イギリスの繊維業者は見る影もなく、アメリカのGM(ゼネラルモーターズ)は2009年に破綻した。パナソニック、シャープ、ソニーが・かつての姿・に戻ることは不可能だ。日本の電機メーカーはもう中国、韓国勢に勝てない」(元ソニー幹部)

 地球儀を前に、まずはあの香川真司が活躍するサッカーチーム、マンチェスター・ユナイテッドの本拠地に指を置く。その指を右に弾き、地球儀を西へクルリと回す。たったこれだけのことで、モノづくりの「中心国の移り変わり」が体感できる。

 産業革命を世界で先駆けて繊維や鉄道産業を興したイギリス。中でもマンチェスターはその中心地の一つで、巨大な繊維工場が立ち並ぶ一大工業地帯として世界に名を馳せた。

 大西洋を越えると、現れるのはアメリカだ。大量生産方式を武器に高性能な車を安価に世界中にばらまいたGMが象徴するように、この国が第二次産業革命の覇者であった。

 さらに地球儀は回り、太平洋を渡ると、日本にたどり着く。ソニーのウォークマンが全世界で大ヒットし、松下電器(現・パナソニック)が米タイム誌に巻頭特集され、トヨタの「カンバン方式」をマネしようと世界中の企業が殺到。アメリカに果敢に挑戦を挑み勝利を勝ち取ったのは、ジャパン・アズ・ナンバーワンと称された日本の製造業だった。

 そしていま、無情にも地球儀はさらに西へと回り、モノづくりの中心は韓国に移動。サムスンやLGがテレビや携帯電話、家電を世界中で売り歩き、日本のお株をすっかり奪ってしまった。さらに後ろには中国、インドが控えている。

 日本の大手電機・自動車メーカーからアジアの巨大企業までを取引先に持つ工作機器メーカー社長もこう語る。

「日本の企業を相手に商談をすると、必ず最後に『持ち帰ります』と言う。社内で何個もハンコをもらって決裁してからじゃなきゃビジネスが進められない。中国や台湾、韓国のメーカーは違う。プライベートジェットでトップが世界を飛び回って、トップ同士で直接交渉する。その場で納品の量から価格、時期まで社長がすべて決定するのだからスピード感が違う。

 それに彼らは日本企業みたいに中間管理職が何人もいる組織じゃなくて、ほぼ全員がプレイヤー。かつてサムスンが海外に人材を送り出す時、片道切符で行かせ、業績が上がればその分は給料を与えるというスタイルで、〝一攫千金〟を狙う猛者達が次々に新興国を開拓していったそうだ。海外駐在といっても中心都市にしか人を送り込まず、借り上げ社宅で優雅な生活を送らせている日本企業が勝てるわけがない」

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら