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第2部 最終結論が出るのはもはや時間の問題 出口を失ったシャープ 社債がついに「クズ」扱い
置いていかれたニッポン 世界の経済はルールが変わっていた!
決算会見終了後、記者に取り囲まれた奥田社長〔PHOTO〕gettyimages

社長がしどろもどろ

 11月1日、東京・中央区日本橋。野村證券日本橋本社7階の会場は騒然とした雰囲気に包まれていた。

 この日、17時30分から決算会見に臨んだのはシャープの奥田隆司社長と経理担当役員の大西徹夫専務。巨大スクリーンを背に一通り決算内容を発表した後、質疑応答に入った。質問に立った新聞記者は、いきなり予想外の厳しい質問を浴びせた。

「今年に入って下方修正は4度目。問題の先送り体質などがシャープの経営の根幹を揺るがしてしまったのではないか。率直にどう思われているのかをはっきり話してもらわないと、働いているシャープの方も報われない」

 普段、取材対象と良好な関係を築くことで〝内部情報〟をいち早く聞き出すことを至上命題としている大手メディアが、これほど辛辣な言葉を投げかけるのは珍しい。

 奥田社長は「信頼を失ったことは反省しなければならない」と率直に認めながらも、その後は歯切れの悪い答弁に終始。「失いきった信頼の回復に努めたい」「下期の業績回復についてとにかくやり切る」などと曖昧な言葉を並べるばかりだった。

「質問の趣旨がご理解いただけていないのかと」

 業を煮やしたのか、記者は続けて質した。

「シャープの経営体質、企業体質そのものに問題はなかったかということに対してお答えいただきたい」

 質疑応答はその後も、ほかの記者から畳み掛けるように〝集中砲火〟が浴びせられる異例の展開となった。

「会社の意思決定のスピードに問題はないか」

「シャープをどのように再建していくのか」

 会見場を埋め尽くした軽く50人を超える数の記者やカメラマンは、奥田社長のはっきりしない物言いに苛立ちを募らせていった。4500億円もの赤字に陥る見通しを発表したのだから、経営者には当然説明責任が発生する。しかし奥田社長の態度には、この期に及んではぐらかすことで逃げきろうという甘さが滲んでいた。

 質疑も終盤に差し掛かり、シャープをどんな会社だと思っているのか、今後なにで食っていくのかについて「もっと明確なメッセージを」と問われた奥田社長は、こう答えている。

「なんちゅうんですかね。バイタリティのある企業にまだなっていないということだと私は見ています。決めたことはちゃんとやりきって、問題があればスピード感を持って反省しながら軌道修正してやるという会社にしていきたい」

 会見に出席した記者が言う。

「外面を分厚く取り繕うばかりで、中身がまったくない。まるであんこの入っていないたい焼きのような会見でした。質疑応答が終わると、まだ聞き足りないとばかりに、記者たちが奥田社長のもとに殺到した。会場の隅っこに追い込まれ、記者やカメラマンに取り囲まれている奥田社長は、それでも最後まで〝自分の言葉〟でシャープの未来を語らなかった」

 シャープがこの日発表した決算は散々だった。通期で4500億円の赤字に転落する見通しで、2期連続で過去最悪の赤字を更新するというものだ。本誌が再三指摘してきたように、経営判断のスピードが遅く大胆な改革に打って出られない経営陣の〝失政〟が証明された形だ。

 次ページのチャートを見ていただきたい。右上方に向かって、不気味なほどの急カーブを描く曲線に、シャープの現状が浮かび上がる。

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