スポーツ

[自転車競技]
白戸太朗「別府選手はチャリティも世界基準!?」

2012年11月18日(日) スポーツコミュニケーションズ
(Photo: Kei TSUJI)

 ヨーロッパでプロサイクリストとして活躍する別府史之選手。「ツール・ド・フランス」、「ジロ・デ・イタリア」といった世界の頂点のロードレースで活躍し、間違いなく日本を代表するアスリートの一人である。自転車好きならもちろん、そうでなくてもその顔や、名前を目にしたことがある人も多いだろう。そんな彼がレースに走るときにいつもビーズを身に着けているのをご存じだろうか? “スポーツ”と“ビーズ”。あまり結びつきがないように思える組み合わせだが、そこには彼なりの思いがある。そのビーズは彼の子どもへの思いと、自分自身を高めるためのアイテムでもあるのだ。

ビーズに込められた思い

 日本の小児がんを患う子どもたちとその家族に社会的支援を行なっているNPO法人「シャイン・オン! キッズ」では、「ビーズ・オブ・カレッジ」という活動を行なっている。小児がんに苦しむ子どもたちが入院中の闘病の記録をビーズという形で残し、その中に「頑張った」記録や「褒められた」記憶も残すというものだ(ここではその活動の詳細は割愛するので、興味のある方は「シャイン・オン!」のサイトを参照ください)。さらに、「チーム・ビーズ・オブ・カレッジ」というものもある。スポーツ選手などが、自分たちが頑張った象徴として身に付けていたビーズを「ご褒美ビーズ」として子どもたちに手渡されるのだ。別府選手がレース中に付けているビーズは、その「ご褒美ビーズ」で、子どもたちに勇気を与えているのだ。

 別府選手がチャリティ活動に関わりはじめてから、もう5年になる。「メイク・ア・ウィッシュ」というボランティア団体からチャリティ活動に参加してほしいとオファーを受けた。当初は「どんなことをすればいいんだろう?」というレベルだった別府選手だが、レースで受ける応援とはまた別の「やりがい」のようなモチベーションが湧いたことで意識を変えたという。また、この「チーム・ビーズ・オブ・カレッジ」は、彼自身の成長を実感できたプログラムだった。小児がんに苦しむ子どもたちに頑張ることを伝えるための活動が、「子どもたちにカッコ悪いところ見せられない」と、結果的にそれまで以上にモチベーションを高く保つことができたのだ。また、実際に病気と闘っている子どもたちやその親御さんたちと会った時、「このビーズがあったから痛くて辛い治療にも耐えられた」と聞かされ、チャリティの意義、そして自身がやることの意味が理解できたという。

 昨年の東日本大震災時には「You are NOT alone ひとりじゃない」という活動を自ら始動した。震災直後、「どんなに小規模でも何か今すぐできることを」、と考え、自身の持ちうる全てのメディア、SNSを駆使してメッセージを伝え、その後メッセージ入りのリストバンドを販売し、その収益を寄付した。すると、バンドは完売。少ないながらもスピーディーに被災地への寄付を実現できた。そしてこの時、自分が知名度があり、メディア的機能を果たせるアスリートだったからこそできること、それを用いて社会に貢献できることがあるということに気づき、別府選手自身の中でチャリティに対する意味づけが確信的なものとなった。

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