世界経済に大嵐が吹き荒れて
神谷秀樹「オバマ第2期政権のもと、強欲資本主義は崩壊する」

神谷秀樹氏

 11月6日に行われた大統領と上下院議員の選挙は、私にとって、アメリカ市民権を得て初めて参加する国政選挙であった。今後も自分が生きてゆく社会の将来を決める、たいへん重要な選挙であり、これに参加し、また「我らがバラック(オバマ)」を再選できたのは、特に嬉しく思えることだった。

 上院も下院も民主党が伸びた。失業率が未だに高く、経済回復も人々が望むほど顕著ではない最中、「大統領の首をすげかえれば」と考える人も多かったが、現職がその実績をもって再選されたことには大きな意義がある。強欲資本主義者たちが望んだ自由放任や、市場原理主義者たちが支配する世界の復興は否決された。

徹底的に「金持ちのための政治」を目指したロムニー

 共和党候補のミット・ロムニーに政治的信条があるとは思えなかった。彼は、そのとき前にしている市場(票田)の好みによって主張をコロコロ変える人なので(それが彼の「マーケティング能力」なのだろう)、何が本当の主張なのか、極めて理解しにくい人物だ(それも大きな敗因の一つ)。

 おおよそのところ、ロムニーの主張は次のようなものだったと思う。以下、7つにまとめて、それぞれの間違いを指摘していこう。

①「金持ちの金持ちによる金持ちのための政治」をしていけば、金持ちが潤い、潤った金持ちがお金を遣えば、やがて貧乏人も豊かになる。

 この仕組みは機能しない。実際には過去20年で、上位1%の人に富の増加が集中し、中産階級以下の所得は減少した。ロムニーは「中間層を大事にする。中間層とは所得20万~25万ドルの層だ」と言ったが、これは上位5%に入る層である。アメリカ国民の平均所得は5万ドルだが、こうした一般庶民は彼の視野に入っていない。

②自分は納税者である57%の層のためには働くが、納税していない47%の「政府にたかっている層」のためには働かない。

 彼が言う「政府にたかっている非納税者」には、定年まで働いて納税していた人や、戦争で負傷し帰還した兵士、借金して大学に通う学生なども含まれる。言い換えると、ロムニーは、「エクスクルーシブ(排他的)」な富裕層の代表で、その層のための政治をすることを目指したのである。ちなみに彼は、かつてプライベート・エクイティーのファンドマネージャーを務めていた。資産2億ドルと言われ、ヨットに「キャッシュフロー」という名前をつけるほどのお金大好き人間である。