心理学で「戦争」は防げるか?人類が真の平和を築く方法とは
ニュー・サイエンティスト UK

 世界では領土問題や宗教対立に関するニュースが連日報道されている。だが心理学の発展により、対立のメカニズムと回避策がわかってきた。

 中国とは尖閣諸島を、韓国とは竹島を巡って対立するなど、近隣諸国との緊張が高まる日本。世界各地でも紛争が絶えないなど、この1世紀に2度の世界大戦を経験したにもかかわらず、世界に真の平和が訪れる気配がなかなか感じられない。

 しかし、我々は歴史的にも最も平和な時代に生きていると米国の心理学者、スティーブン・ピンカーは指摘する。彼が歴史の統計データを元に、過去6000年を比較したところ、現代の人々は復讐や虐殺といった暴力的な原因で命を落とす確率が格段に下がっていることが判明したのだ。

「人=マザー・テレサ×ランボー」

 それでも、人々のあいだで諍いがなくならないのはなぜか? 他の動物は限られた資源や種の保存を巡って争うが、人類はそうした生物学的な要因に加えて文化的な理由でも揉める。実際、名誉や価値観を守るために戦争するのは人間だけだ。

「思想や文化を巡って戦う点で、人類は特異な存在」と米メリーランド大学カレッジパーク校のミシェル・ゲルファンド教授も認める。

 それどころか、「衝突」は人間社会の中核を成す性質ですらある。

「人類は一つの種でありながら、さまざまな対立する集団に分かれる」と仏ジャン・ニコ研究所の文化人類学者、スコット・アトランは語る。

 そして集団間の対立は容易に起こるものだ。ある研究では、スイスの画家パウル・クレーとロシアの画家ワシリー・カンディンスキーを好む人々とで組分けしただけでも、対立構造が生まれることがわかっている。対立は、色違いのシャツを着せるだけでも生まれるという。

 米サンタフェ研究所のエコノミスト、サミュエル・ボウルズによると、人は進化の過程で帰属する集団への親近感と他者に対する疎外感をセットで育んできたのだ。

「人は、マザー・テレサのような優しい側面と、ランボーのような暴力的な側面を併せ持つものなのです」

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