野球
二宮清純「名伯楽・新井宏昌、打撃指導の原点」

 今季の広島カープのチーム打率2割3分3厘は横浜DeNAに次ぎ、両リーグで下から二番目でした。8月まで3位争いをしながら、9月に入って失速した一番の原因は“貧打”にありました。

貧打解消を担うイチローの“師匠”

 その貧打の責任をとるかたちでシーズン終了後に町田公二郎打撃コーチは解任、浅井樹コーチが3軍に配置転換となり、新たに前オリックス2軍監督の新井宏昌さんが就任しました。

 新井さんと言えば、オリックスの打撃コーチ時代にイチローを指導したことで知られる名伯楽です。現役時代の実績も素晴らしく、近鉄時代の1987年には打率3割6分6厘で首位打者を獲得しています。なお、このシーズンにマークした184安打は、130試合制では当時のシーズン最多安打記録でした。

 新井さんのバッティングの師匠は、若松勉さんや掛布雅之さん、最近では岩村明憲選手を育てたことで知られる中西太さんです。

 南海から近鉄に移籍したその年(86年)の春のキャンプ。中西さんは細身ながらスイングの大きい新井さんに近づき、こうアドバイスしたそうです。
「ちょっとムダな動きが大きすぎるな。インパクトの瞬間、下半身を止めてヘッドを走らせてみろ。右手でグリップをしっかり握っていれば、左手は遊ばせていてもかまわん」