サッカー
二宮寿朗「ナビスコ杯に必要な制度改革」

 20回目を迎えた2012年のヤマザキナビスコカップ(Jリーグカップ、以下ナビスコ杯)は鹿島アントラーズの2連覇で幕を下ろした。「11月3日、国立競技場=ファイナル」はサッカーファンに完全に定着している。どんなカードに関わらずスタジアムは満員に膨れ上がり、今回の決勝(鹿島-清水エスパルス)にも4万5000人以上の観衆が詰め掛けた。歴史的にもJリーグが「同一スポンサーによる世界最長のカップ戦」としてギネスブックに申請したほど、日本サッカー界にとっては重要な大会として位置づけられているのだ。

「ベストメンバー規定」の違和感

 ナビスコ杯はリーグ戦、天皇杯と並ぶ3冠の一つとして十分に浸透していると言える。しかしながら、「このままでいいのか」と改革を求める声がファンのなかにも少なくない。
Jリーグの公式サイトによると今季のナビスコ杯の1試合平均観客動員数は8947人。クラブ別(ホーム開催)で見てみると1試合平均で1万人を超えたクラブは浦和レッズ(1万7877人)、FC東京(1万460人)、柏レイソル(1万219人)の3クラブのみであった。最低の動員数だったのはヴィッセル神戸で4297人。これはJ2平均観客動員数(5805人)より低い数値だ。

 ただ、致し方ない部分も大きい。ほとんどがミッドウィークの水曜日開催であり、日本代表のスケジュールと重なることで代表選手が不在になるケースも多いのだ。現状としては決勝トーナメントに入ってからようやく話題になっていき、決勝だけが爆発的に盛り上がっているような印象を受ける。ミッドウィーク開催、そして代表スケジュールの影響をモロに受けてしまっているのだ。だが、それで「仕方ない」と片づけるわけにはいかない。20周年という節目を機に、もう一度方向性を見直すべきではないかと思う。

 まず常に議論に上がってくるのが「ベストメンバー規定」についてだ。これは当該試合直前のリーグ戦5試合のうち1試合以上先発した選手を6人以上、先発で起用しなければならないという規定である。 リーグがベストメンバー規定を重要視する理由のひとつに、サッカーくじ「toto」がある。規定があやふやになってしまうと八百長につながる危険性があるからだ。スポンサー料の提供を受けているヤマザキナビスコ側への配慮も当然あるだろう。加えて、リーグとしての狙いはベストメンバーで臨むことによって、大会の価値を高め、観客を誘引させようという狙いがあるのではないか。

 神戸が6月27日のナビスコ杯予選リーグ(横浜F・マリノス戦)で規定に違反し、Jリーグから1000万円の制裁金処分を受けたことは記憶に新しい。その裏には、直近5試合のなかで監督が交代しているという事情もあった。決勝トーナメントに進出できる可能性もなかったため、5月中旬に就任したばかりだった西野朗監督(当時)が出場機会の少ない選手をテストしておきたいと考えても何ら不思議ではない。だが、現在のルールでは、それは違反となる。リーグとすれば、神戸のようなチームが続出することで、大会の価値が下がってしまうことを避けたいというわけだ。

 しかし、ミッドウィークの開催でいくらベストメンバー規定を強いても、観客を多く集めることは難しい。それは、平均で1万人を切っていることで明らかである。さらに言えば、代表のスケジュールとの兼ね合いを配慮しなければ、代表選手の出場は難しく、観客の誘引以前に、そもそも「ベストメンバー」とは言えないのではないか。代表選手を抜かれた上に観客動員にも意味をなさない「ベストメンバー規定」を強いられるのは、やはり違和感が拭えないのである。撤廃ないしは少なくとも内容見直しを真剣に検討すべきではないだろうか。