政治評論はいまだ「マネーボール以前」の世界!オバマ勝利を完全予測した「シルバー論文」が突きつける政治評論家はどこまで信用できるのか
〔PHOTO〕gettyimages

 先週は、米中の指導者の交代が注目を集めた。米国ではオバマ大統領が続投、中国では胡錦濤体制から習近平体制に移行する。日本でも、ようやく年内解散風が吹き出した。

 米国では広く国民参加の大統領選挙、中国では一部のエリート党員だけの共産党党大会と両国のお国柄がでている。今週は米国大統領選での選挙報道に関する新しい動きを紹介しよう。日本でも解散、総選挙の動きがあるので、日本でも米国のような報道になるのだろうか。

 ブラッド・ビット主演の「マネーボール」という映画(2011年)をご存じだろうか。200年代初め、ブラッド・ビットが演じるオークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンが、大リーグ野球のデータを統計処理した手法(セイバーメトリクス)を駆使して、割安だが勝利に貢献する選手を獲得して経営危機に瀕したアスレチックスを再建する姿を描いている。

 セイバーメトリクスは、今では米国の大リーグで常識化している、日本のプロ野球でも、大リーグそのままでないとしてもデータ重視の方向は明らかだ。

セリーグの順位をあてた評論家はたった一人だけ

 ただ、プロ野球評論家はあまりデータを使っていない、彼らは出身チームとのつながりを重視し、例えば順位予想でも出身チームに甘い。彼らが今年の春先に予想したものを検証してみよう。

 セ・リーグ66人の評論家が行った順位予想をみると、さすがにセ・リーグでは巨人の1位を予想した人は51人いるが、上位3チームの順位を的中させた人は8人、そのうち全6チームをあてたのは平松政次氏、たった一人していなかった。パ・リーグ60人の順位予想では、日本ハムの1位を予想した人は一人もいなかった。当然全6チームの順位をすべて的中させた人は誰もいなかった。

 今回の米国大統領選挙で、セイバーメトリクスの専門家がその手法を導入し、話題を集めていた。ネイト・シルバー氏だ。

 彼のブログはニューヨークタイムズ紙に掲載され、彼の数理統計モデルは大統領選の勝敗を全51州すべてで的中させた。全米での総投票でも、オバマ大統領50.8%、ロムニー氏48.3%と予測しており、ほぼどんぴしゃりだった。ほとんどの政治評論家は形無しだった。

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