建設業者と漁協が組んでブイヤベースを都会で売る「Sado Kitchen」の取り組み ~農林漁業「6次産業化」の現場レポート
シンワシーデリカの工場にて(筆者撮影)

 「6次産業化」という言葉をご存知だろうか。農林業業などの第1次産業と、食品加工などの第2次産業、それに販売や外食といった第3次産業のサービス業を融合、「1+2+3=6次産業」というわけだ。民主党が政権交代前から日本の農林漁業復活の切り札として掲げてきた政策である。

 従来、農林漁業政策の柱は補助金だった。民主党は政権交代に際して「農家戸別所得補償」制度の導入を前面に押し出したため、補助金政策の拡大ばかりが目に付く。だが、「補助金漬け」では日本の農林漁業に将来がないことは、現場の農林漁業者が一番痛感している。何とかして「儲かる農林漁業」にすることが、再生にとって不可欠なのだ。

 10月の稲刈りが終わった新潟県佐渡を訪れたが、そこで大規模化を目指す農業法人のトップが言った言葉が耳から離れない。

 「結果的に小規模農家を守る戸別所得補償には反対ですが、正直言って助かっています」

 補助金漬けでは未来が開けないと理解しながらも、収支を考えると補助金なしには成り立たない。何とか日本の農業を強くしよう、と努力をしている現場の人たちが、最も戸惑っているのだ。

6次産業化の難題は消費者とつながる3次産業部分

 政府は7月末に経済成長戦略として「日本再生戦略」を閣議決定した。医療・介護、環境、農林漁業の三つを重点分野とし、2013年度の予算編成から重点枠を設けて優先的に財政措置を取るとしている。これによって100兆円超の新市場を創り出し、480万人以上の新たな雇用を生み出すとしている。その農林漁業の成長戦略の柱にも、6次産業化が掲げられている。6次産業化による市場規模を2020年までに10兆円にするのが目標だという。

 「日本再生戦略」にはこう記されている。

 「地域に根差した農林漁業の活性化を図り、地域の資源を見直し、高付加価値化を進めた新しい6次産業とすることで、農林漁業者の所得を増大させ、日本全国、津々浦々の地域活力の向上につなげていく。意欲ある若者や女性などが、安心して農林水産業に参入し、継続して農林水産業に携わる環境を整え、農林水産業を新たな雇用の受け皿として再生する」

 「農林漁業と商業、工業、観光業を組み合わせた6次産業を生み出すことで、地域社会に自信と誇りを取り戻す」

 実は6次産業化はこの再生戦略で始まったわけではない。民主党政府が2010年3月末に閣議決定した「食料・農業・農村基本計画」でも6次産業化の推進が大きな柱として掲げられていた。農林漁業の地元でも「6次産業化」という言葉がかなり定着し、様々な取り組みが始まっている。

 ただ、農林漁業に取り組む現場からみて、6次産業化の難題は最終的に消費者とつながる3次産業部分だ。自分自身が獲った農産物や水産物を、都会のデパートに売り込んだり、インターネットを通じて販売しようと試みる農林漁業者は少なくない。だが、そこに最大のハードルが存在するのも事実だ。

 なかなか簡単には最終消費者の間で認知度が高まらないのだ。現場の個々の取り組みを多くのメディアが紹介することが、6次産業化のカギと言っても過言ではない。そんな6次産業化の取り組みの現場を訪ねて今後、随時紹介していくことにしたい。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら