田中克郎 第1回 「今夜からわたしが顧問弁護士を引き受けます---深夜の広尾に生まれた、熱い熱い友情」

撮影:立木義浩

<店主前曰>

 男同士の相性は、出会い頭でほとんど決まる。あれは去年の9月ごろだっただろうか、弁護士の田中克郎とわたしは、J-WAVEの小笠原社長の紹介ではじめて会った。顔と顔を会わせた瞬間、いや、目と目が合った瞬間、ググッとお互いに感電し合うものがあった。

 田中克郎のどこにそんなに惹かれたのかというと、それは顔である。60歳を越した男の惚れ惚れするようなチャーミングな顔にわたしは弱い。男の顔は40歳までは両親の作品だが、そのあとはその男自身の作品である。たとえ大企業の社長、会長を歴任した猛者であっても、自信のなさや嫉妬心が威張ったメッキのなかに見え隠れするときがある。

 いま、貧相な顔の男が増えている。そういう現代において、田中克郎はみるからに福相だ。弁護士という職業柄の威厳のなかに茶目っ気が見え隠れしている。しかもたくさん徳を積んだ顔だ。こういう男の顔はセクシーで、好きだ。田中克郎は実力が伴った素敵な人生を生きてきたのだろう。男の顔は、正真正銘その男の、隠すことが出来ない履歴書なのである。

 田中克郎のほうもわたしを面白い男だと思ったようだ。広尾のサロン・ド・シマジの本店にやって来てしたたかシングルモルトを飲んだ後、鹿児島生まれの田中は酒豪らしく一糸乱れず、こう言い放った。

 「シマジさん、今夜からわたしがあなたの顧問弁護士を引き受けます。これから契約書とか、書いた原稿などで訴えられることがあったら、そのときはわたしを使ってください」