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第3部 自分のクビを絞めていることに気づかないおバカな国よ 中国経済はこんなにボロボロになっていた デモをあおって自業自得
暴走する「反日」のウラ側で
〔PHOTO〕gettyimages

「今回の反日運動で、日本の自動車メーカーは多大な影響を受けていますが、同時に中国の自動車メーカーも相当な打撃を被っています。

 たとえば反日運動が激しかった時期(9月18日~10月3日)の株価を見ると、日産自動車と中国で合弁を組む東風汽車という自動車メーカーの株価の下落率は、日産のそれより大きかった。日産は中国での部品調達率が70%以上で、メンテナンスもディーラーも中国企業が行っている。日産は9月の中国での新車販売台数が前月比で約35%減りましたが、これは同時に、中国企業のクビを絞めることにもなっているのです」(日系証券会社の中国株アナリスト)

 中国の経済成長は投資と輸出に依存してきた。海外の企業が中国国内の生産拠点で生産したものを世界に輸出するモデルで、驚異的な経済成長を遂げた。しかし、全土で起こった激しい反日運動が、急成長に水を差す結果につながっている。中でも進出数が世界一の日本企業は1000万人規模の雇用を支えているため、日本製品の減産によって中国経済が大打撃を受ける。

「日本の自動車メーカーなどが現地工場で減産を始めれば、中国人の雇用にモロに影響が出る。もちろん輸出も落ち込むことになるので、中国経済にとってはダブルパンチとなる」(日本総研理事の湯元健治氏)

 それでも中国人たちは、反日活動をやめようとしない。タクシー運転手は日本人とわかると乗車拒否、中共中央宣伝部からは各テレビメディアに、日本の俳優やタレントを使うなという指示が出ている。

「日本製品の不買運動もかなり激しくなっており、すでに日本製の自動車に乗っている人はメーカーのエンブレムが見えないように『尖閣は中国のもの』というステッカーを貼っているほどです」(日本僑報社編集長の段躍中氏)

 こうした行為が、中国経済をさらに窮地に追い込んでいる。日本企業だけではなく、欧米など世界中の企業がチャイナリスクを嗅ぎ取り、「離中」を加速させようとしているのだ。

「生産拠点として最近注目を集めているのがミャンマー。人件費が中国の4分の1と安く、東南アジアの市場も取り込める。2億4000万人の人口を抱えるインドネシアをはじめとし、ASEANの加盟国全体の人口が6億人にのぼるため、たとえ中国での売り上げが減っても、カバーできてしまう。それにミャンマーやベトナムで生産した製品を中国に輸出すれば、中国市場を取り込むことも可能なのです」(第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣氏)

市民の暮らしに深刻な影響

 中国から企業が出て行くだけではない。アメリカでは中国企業の〝排除〟が進んでいる。

「中国の通信設備大手の華為技術を米国市場から締め出そうとしたり、建機大手の三一集団が米国で進めていた風力発電事業に中止命令が出されています。いずれも安全保障上の理由とされていますが、中国側は猛反発。三一集団はオバマ大統領を訴えました。背後に中国政府が絡んでいることは疑いない。大国意識が異常に高揚していて、自制心を失った中国の姿が垣間見えます」(上海在住のジャーナリスト・姫田小夏氏)

 中国政府は公共事業を増やし、なんとか景気を下支えしているが、日本や欧米各国からの投資が急減すれば、先行きは厳しい。

 市民の生活レベルでも中国経済は〝崩壊寸前〟だ。最近訪中したジャーナリストの福島香織氏は、目の当たりにした不況の凄まじさをこう語る。

「物価が2~3ヵ月で3~4割も上がるインフレが進む中で、給料は上がらない。しかも賃貸マンションの家賃が高値にある状況で、人々が生活必需品さえ買えない事態になっています。だから、10月下旬までやっていたジャスコの10元セールには客が殺到していた。普段は40~50元のものが10元で買えるからと、中国人の主婦たちがここぞとばかりにベビー服などを買い漁っていました」

 ジャスコは日本企業で、反日デモの対象となり、投石をくらってもいるのだが。

「中国のネットではこうした主婦をけしからんと批判する書き込みも出ています。でも、興味深いのは主婦たちがそれに反論していること。『私たちがジャスコに行って誰が傷つくんだ』『中国の国有企業にジャスコの真似ができるのか』といったものから、『国家は私たちの面倒も見てくれない。愛国を言う前に、日本企業並みのことをやって欲しい』といったものまでありました。目の前のモノを手に入れるためには、反日などと言っていられない。これが中国経済の現実です」(同前)

 中国の経済発展の象徴といえば不動産だろう。街中いたるところで重機がうなりを上げ、ピカピカのガラス張りの高層ビルが次々に建設されていく様は壮観だった。

 しかし、行き過ぎた不動産バブルを抑制するため、昨年初めから政府が購入規制をした結果、いまや業界はすっかり冷え込んでいる。内装、家具、鉄鋼など関連する何十もの業界にも影響が波及、バタバタと企業が倒産したが、日中関係がさらに状況を悪化させている。

「都心部の不動産業者は、日本の駐在員など外国人を相手に仕事をしていることが多いので、日系企業の事業縮小や駐在員帰国による打撃は避けられない。駅前の好立地のオフィスビルでも『テナント募集』の張り紙が出てきている。これからは日本人客を相手にしていた飲食店やクラブなどが廃業する可能性もあり、そうなればさらにテナントが減って、不動産業界は輪をかけて冬の時代に入っていくかもしれない」

 表向きは「反日」を装いながら日本にすがる中国---その実態はこんな風景からも垣間見える。

 9月中旬。都内の証券関係者を訪ね歩く、中国人集団がいた。

 その正体は、中国の証券行政を監督する証券監督管理委員会の幹部ら。関係者によれば、中国の取引所幹部の姿もあり、一行は日本の信託銀行、厚生年金の運用会社などを訪問していたという。

 折しも日中関係が火を噴き、中国本土では反日デモが各地で巻き起こっていた時期である。

 同じ頃、舞台を中国本土に移すと、株式市場で〝異変〟が起きていた。9月初頭に上海総合指数が連日の安値を更新。反日デモを嫌気した投資家がさらに売りを加速させ、一時2000ポイント割れし、ついに約3年8ヵ月ぶりの安値を更新したのだ。

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