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 千葉刑務所の面会室はとても狭かった。縦横1・5m前後のスペースしかない。

 そこに日本国民救援会千葉県本部の岸田郁さん(42歳)と岡山県本部の中元輝夫さん(75歳)と私が入るとすぐ、透明なアクリル板の向こうに元准看護師の守大助氏(41歳)が姿を見せた。

 緑色のズボンに灰緑色の作業服。頭髪は黒々としたスポーツ刈りで、顎の線がやや尖っている。

 十数年前の写真と比べると、痩せて引き締まったようだ。

「どう、元気?」と、岸田さんがまず声をかけた。

「ええ、元気です」。彼は椅子に腰を降ろしながら笑顔で答えた。

 顔は青白いが、声には張りがある。笑うと目尻に皺が何本か寄る。

 彼が仙台筋弛緩剤事件で逮捕されたのは'01年のことだ。法廷で無実を訴えつづけたが、'08年に無期懲役判決が確定した。現在、弁護団が集めた新証拠をもとに再審請求中である。

 許された面会時間は20分。しかも今回の面会の主役は岡山から来た中元さんだから、私は邪魔にならぬよう、彼らの会話に耳を傾け、守氏を観察することにした。

 中元さんが「いま一番やってほしいことは何ですか」と聞いた。

「全国の人たちに真実を広めてほしいんです。僕はやっていない。やっていないからこうして皆さんに会えるんです。やっていたら(後ろめたくて)会えませんよ」

 守氏は少し早口で言った。だが、声に刺々しさや苛立ちは感じられない。滑らかで落ち着きがあった。

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