アップルも後押しする鴻海との提携にも尻込み。無責任な経営トップが続く限りシャープの凋落は止まらない

2012年11月03日(土) 井上 久男
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 まさに付け焼刃のトップ人事であり、これには「本来なら社長交代は来年の予定だったが、業績悪化によりメーンバンクからの圧力で急遽交代せざるを得なかった」(大手紙記者)との見方もある。

相談役、会長、社長の「3頭政治」

 07年に40代で抜てきされた片山幹雄社長は、前述したように液晶事業の無防備な拡大路線による業績悪化の責任を取って更迭、代表権のない会長に退任した。同時に「亀山モデル」を確立させた実力会長、町田勝彦氏も相談役に退いた。

 町田氏は、シャープの創業者早川徳次氏の番頭役を務め、中興の祖と呼ばれた佐伯旭元会長の女婿。社内では隠然たる力を残し、最大の経営課題である台湾・鴻海との提携交渉では、鴻海の郭台銘会長との長年の付き合いから町田氏がその窓口を務めると社内外でも見られていた。

 この結果、シャープは、相談役、会長、社長という「3頭政治」に陥り、社内でも誰が意思決定しているか分からない状況に陥った。「キングメーカー」でありながらも、表向きには町田氏が「奥の院」に引き下がり、社長の奥田氏を中心とする経営体制になったかに見えたが、「悲劇」は奥田氏が連結で5万7000人もの大企業をけん引できる「器」ではなかったことだ。

 シャープの経営危機の本質は、無能な経営者がこの期に及んで居座り、会社を食い物にしているということである。こうした現状では、なけなしの資金をはたいて新しい技術に投資して再生を目指しても効果は期待できない。

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