アップルも後押しする鴻海との提携にも尻込み。無責任な経営トップが続く限りシャープの凋落は止まらない

2012年11月03日(土) 井上 久男
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 シャープ凋落の理由について、投資戦略や技術戦略の誤りなどを指摘し、シャープの液晶は日本のものづくりレベルを示す大事な技術なので応援しなければならない、といった論調を展開している研究者や評論家もいる。が、これではシャープの課題の半分しか指摘していない。

 こうした研究者や評論家は、ほとんどがエンジニア出身で、技術や商品開発、あるいは設計管理等の手法には詳しいが、「経営の現場」を観察したうえでの論評ではないので、シャープの経営危機の核心には迫っていない。

 敢えて言おう。シャープの凋落が止まらないのは、シャープの役員、中でも経営トップ層が腐っているからである。シャープを倒産の危機から救うのは、経営陣を総取り替えするしかない。「魚は頭から腐る」と言われるが、シャープも経営トップが腐り始めているのである。このままだと優れていると言われる「IGZO」などの次世代技術もそれを支えてきた人材も、会社と一緒に腐ってしまう。

外資系コンサルタントンに丸投げ

 企業経営は「ミカン箱」と同じで、ミカン箱の中に腐ったミカンがひとつあると、急速に箱全体のミカンが腐っていくのである。しかもその「ミカン」が経営陣であれば、腐り方のスピードはさらに早まる。

 シャープの現役幹部はこう嘆いている。

 「うちの会社は空中分解しています。現場や若手社員は危機感があるのに、奥田隆司社長と片山幹雄会長にはそれが感じられません」

 11月1日の決算会見で奥田社長は「環境の変化やリスクに対応するためにもっとスピード感をもって対応すべきだった」と語った。まるで他人事のような発言である。スピード感をもって対処しなければ危機が深まることは、今年4月の就任時から分かっていたはずだ。

 社内ではこんなこともあった。前出の現役幹部は悔しそうに言い放った。

 「若い有能な事業本部長クラスが会社の再建策を奥田社長らに進言していますが、奥田社長は『経営改革は専門家に任せればいいんだ』と外資系コンサルタント会社に丸投げしています。それを聞いたとき、社長が経営の専門家でなくて誰が専門家なのだと思いました。だからこの会社はもう終わっているのです」

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