アップルも後押しする鴻海との提携にも尻込み。無責任な経営トップが続く限りシャープの凋落は止まらない
4,500億円の当期赤字を発表した奥田隆司社長〔PHOTO〕gettyimages

 シャープの凋落が止まらない。すでに社内からは「このままでは来年3月までに経営危機で重大な局面を迎える」(幹部)といった声も出ている。要は倒産の可能性があるという意味である。メーンバンクの一つ、三菱東京UFJ銀行はシャープへの貸し出しについて、「要注意」としてすでに貸倒引当金を積んだ。

 シャープが11月1日に発表した2013年3月期決算の業績見通しは、8月2日の第一・四半期決算の発表時から大幅な下方修正となった。営業赤字は1,000億円から1,550億円に、当期赤字は2,500億円から4,500億円にそれぞれ拡大する。当期赤字額は2012年3月期の3,760億円を上回ることになり、2年連続で過去最悪を更新する。

 当期赤字が大きく拡大する理由は、大型液晶パネル生産事業縮小に伴う在庫評価損や太陽電池事業での減損処理、海外事業の統廃合に伴う費用で合計844億円の特別損失を計上、さらに繰り延べ税金資産を610億円取り崩したことなどによるものだ。10月31日に決算を発表したパナソニックと同様に、特別損失の意味は、過去の過大な投資の失敗のつけを払わされているということである。

 パナソニックと違うのは、シャープの場合、本業での儲け具合を示す営業損益段階で赤字となっており、しかもそれが拡大している点だ。つまり、現在進行形のビジネスでも全く稼げていないことになり、浮上の気配すら見えない。

経営トップ層が腐っている

 営業損益を事業部門別に見ても、液晶(1,320億円の赤字)、太陽電池(140億の赤字)、AV・通信機(150億円の赤字)とほとんどの事業が赤字。8月2日時点よりも赤字額の予想値が拡大するという悲惨な状況で、再生をけん引するビジネスが見当たらない。

 シャープは「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在している」と決算短信に記載した。シャープが経営継続のリスクについて開示するのは初めてだという。まさに存亡の危機なのである。

 シャープ凋落の理由について、投資戦略や技術戦略の誤りなどを指摘し、シャープの液晶は日本のものづくりレベルを示す大事な技術なので応援しなければならない、といった論調を展開している研究者や評論家もいる。が、これではシャープの課題の半分しか指摘していない。

 こうした研究者や評論家は、ほとんどがエンジニア出身で、技術や商品開発、あるいは設計管理等の手法には詳しいが、「経営の現場」を観察したうえでの論評ではないので、シャープの経営危機の核心には迫っていない。

 敢えて言おう。シャープの凋落が止まらないのは、シャープの役員、中でも経営トップ層が腐っているからである。シャープを倒産の危機から救うのは、経営陣を総取り替えするしかない。「魚は頭から腐る」と言われるが、シャープも経営トップが腐り始めているのである。このままだと優れていると言われる「IGZO」などの次世代技術もそれを支えてきた人材も、会社と一緒に腐ってしまう。

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