企業・経営
「もはやうちは負け組」と社長が危機宣言---2期連続で7,500億超の巨額赤字を計上したパナソニックは倒産寸前から復活した日産のV字回復に学べ
2期連続の巨額赤字を発表した津賀一宏社長〔PHOTO〕gettyimages

 「普通の会社ではないと自覚するところからスタートしなければならない」

 「過去の投資判断に課題があった」

 「もはやうちは負け組である」

 パナソニックの津賀一宏社長は10月31日、2013年3月期第二・四半期決算発表の席上でこう語った。

 同時に発表した2013年3月期通期の業績見通しでは、当期純損益を500億円の黒字予想から一転、7,650億円の赤字に引き下げ、63年ぶりの無配に転じる。パナソニックは前期も製造業では過去2番目に大きい7,721億円の当期純損失を計上、同社のような「優良企業」が2期連続の巨額赤字を計上するのは日本の企業史の中でも異例のことだ。

 人員削減などのリストラによって本業の儲けを表す営業利益はどうにか黒字を確保したものの、営業外損益で事業構造改革費4,400億円を計上、さらに繰り延べ税金資産を4,125億円取り崩すことで巨額の当期純損失に陥った。

 事業構造改革の主な内容は、携帯電話事業や買収した三洋電機のリチウムイオン電池や太陽電池の不振・事業縮小によって発生した減損処理(のれん代計上)に伴うもの。中村邦夫前会長(現相談役)時代から大坪文雄前社長(現会長)時代にかけての投資判断の誤りやM&A戦略の失敗のツケを払わされている形だ。

「我々は隠したり、嘘をついたりしたわけではない」

 7月31日に発表した第一・四半期の決算では通期で500億円の黒字を予想しておきながら3ヵ月後には8,000億円近い減益に陥る見通しの甘さは、名門企業の誇りの高さから「沈没」していく現実を受け入れない危機感の低さから生じていると言われても仕方がない。

 わずか3ヵ月で大幅赤字になることについて津賀社長はこう説明した。

 「本業の不振が原因。昨年は大震災やタイの大洪水があり、売り上げが落ちる要因があったが、今年は明確な要因がないのに売り上げ伸びない。価格下落が進むデジタルコンシューマー商品は売りを伸ばそうとすると収益が落ち込む。また、これまで多額の投資をしてきた分野で投資の回収ができないと判断したので減損処理をした。我々は隠したり、嘘をついたりしたわけではない。こういう現状の姿が見えたので減損の判断をした」

 携帯電話事業でも、欧州で今春に再参入しておきながら早くも撤退を決めるなど、ちぐはぐな経営戦略が露呈したが、これについても津賀社長は「状況の変化に目をつぶらないということ」と語った。

 今のパナソニックの経営は結局、こういう現状なのであろう。津賀氏は今年6月の株主総会後に社長に就任、実際に経営の舵を取ってみると、想像以上に傷んでいたり、課題が大きかったりする事業が多く、「膿を出す」という意味で減損処理を早急に行い、反転に向けての戦略に注力するということになった。

 要は、「天皇」と呼ばれて誰も首に鈴を付けることができなかった実力者、中村邦夫前会長とその周辺にいたゴマすり無能役員がやってきた経営の「失策」による痛手が想像以上に大きくて「出血」が止まらず、しかも主力のデジタルコンシューマー商品は値崩れで売れば売るほど収益を圧迫するという悪循環の中で、就任して約4ヵ月の津賀氏がもがいている、という構図である。

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