Close up 独立リーグから入団して6年目、今季パ・リーグ首位打者に
(ロッテ)角中勝也が辿り着いた「超低重心打法」

かくなか・かつや  '87 年5月25日生まれ。石川県の出身者として首位打者を獲ったのは、松井秀喜以来の快挙だ。性格は温厚で、長年、角中を見てきた球団マネージャーの西野敬は「怒りを露にしない静かな男」と評した。180cm80kg。角中の今季の成績は477打数149安打、本塁打は3本 〔PHOTO〕西山和明

「首位打者を獲ってやろうとは思っていなかったですね。打率を3割1分に乗せてから、少し意識はしましたけど。独立リーグに育ててもらったので、自分の活躍が恩返しになるのは嬉しいです」

 こう殊勝に語るのは、ロッテの角中勝也(25)だ。今シーズン、西武の中島裕之との熾烈な打率争いを制し、3割1分2厘でパ・リーグの首位打者のタイトルを獲得した、球界注目の外野手である。

 角中独特の強みについて、野球解説者の金村義明氏はこう説明する。

「久々に出てきたハングリーさを持った選手です。内角外角の球を問わず、広範囲に対応する力がありますね。重心を低く保つことで、ボールに身体を反らされて体勢を崩すリスクを減らしています。難しい球はカットし、好球をミートすることが打率に繋がっているんでしょう」

 だが、首位打者候補として角中の名を、開幕前にズバリと予想した野球関係者は一人もいなかったのではないだろうか。それも無理はない。彼の辿ってきた野球人生の軌跡は、他の野球エリートたちとは大きく違っているのだから―。

 角中は石川県七尾市生まれ。「絶対に息子をプロ野球選手にする」という父・稔氏の指導のもと、彼は3歳の頃から毎日ロードワークを命じられ、小中学校時代は自宅を改造した練習場で、ひたすらバッティング練習に明け暮れた。