サッカー
二宮寿朗「ブラジルに見たザックジャパン強化策」

 ポーランド・ヴロツワフで見たカナリア軍団は、あまりに強かった。序盤こそ日本のパスワークに手を焼いたが、カウンターを武器にペースをつかむと、ゴールラッシュで終わってみれば4-0。個々の能力が高いのはもちろんのこと、組織的かつ効率的で隙のないスタイルの完成度は高く、「スペインと並ぶ最強のチーム」と評したアルベルト・ザッケローニ監督の言葉は、決してお世辞ではなかった。ただ、強さもさることながら、それ以上に驚かされたのは格下である日本相手にも、まったく手を抜かなかったことだ。

ブラジルが本気で戦う理由

 最後まで容赦しない戦い方は、フレンドリーマッチにおいて以前までのブラジルにはあまり見られない光景だった。ところが、今回は関係者も「こちらがスターティングメンバーを出すまで、ブラジルは出そうとはしなかった」と驚いたほどである。右サイドのフッキが献身的に走り続けたことがその象徴であり、ネイマールはカウンターに全神経を注いでいた。そして、6人を交代させることができる親善試合で後半20分まで誰ひとり交代させなかったあたりにも、王国の本気度は伝わってきた。

 その背景には、国内でうずまく批判を鎮める意味もあったに違いない。次回のリオデジャネイロ五輪に向け優勝が義務づけられた先のロンドン五輪では、決勝でメキシコ相手に1-2で敗北。自国で歓迎されない銀メダルに終わった。

 五輪代表とA代表を兼任するマノ・メネゼス監督の手腕に批判が殺到し、元ブラジル代表ストライカーのロマーリオも地元メディアを通じて「彼にとって(メキシコ戦は)最後の試合になった」と語るなど、指揮官の周辺はざわついていた。2014年W杯開催国のブラジルは予選が免除されているため、指揮官は親善試合のなかで結果を残していかなければならなかった。

 そんな五輪後のスウェーデン戦に3-0で勝利すると、その後も南アフリカに1-0、中国に8-0と国際Aマッチデーで連勝を続け、日本戦の前に行なわれたジーコ率いるイラクとの試合も6-0の快勝。相手がそれほど強豪国ではないとはいえ、五輪後の国際Aマッチデーでの戦績は5戦5勝、それも22得点無失点という結果が本気度を証明している。南アフリカW杯ベスト16の日本に大勝したことで、逆風も弱まってくるだろう。