経済の死角

インサイドルポ シャープ経営陣社長と会長の戦いが始まった ジャーナリスト 井上久男

2012年11月09日(金) 週刊現代
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〔PHOTO〕gettyimages

 社員は社長の言動をよく見ている。その一声で奮起したり、一気にやる気を失ったりする。シャープは、トップの迷走が会社を危機に陥れる典型例といえる。いま、内部で何が起きているのか。

「器」じゃなかった新社長

 台湾の鴻海精密工業との提携交渉など、今春からメディアを賑わすシャープの経営難は一向に改善が見られないばかりか、日に日に悪化し、もはや崖っぷちに立たされている。

 株価は150円を割り、41年ぶりの安値を更新。社債は、格付け会社からは「投機的水準」に2段階も格下げされた。

 メーカー経営の根幹に関わる投資や技術の戦略が世の中の変化についていけなかったことがシャープの敗因と分析する専門家もいるが、筆者はそれだけだとは思わない。

 シャープの悲劇の一つは、新社長に就任した奥田隆司氏が、連結で5万7000人もの大企業を牽引できる「器」ではなかったことにある。

 今年4月に奥田氏が新社長に就任した直後、シャープ社内でこんなことが起きていた。

 毎朝8時25分、始業の挨拶を告げる社内放送が日本語、英語、韓国語、中国語の4ヵ国語に切り替わった。奥田新社長がグローバル経営を加速させていくことを意識した取り組みということだったが、社内からは「これでグローバル経営などといえば鼻で笑われる」「社内放送を変える程度のことは、社長ではなく総務部長の仕事でしょう」といった声が漏れた。

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