官々愕々
政策軸で日本の政党を整理する

〔PHOTO〕gettyimages

「近いうち」の解散がいつなのか。野田政権と自公両党の綱引きが続いている。しかし、有権者から見れば、消費増税を一緒に推進した同じ穴の狢同士。どちらか選べと言われても、選択の基準がなくて困ってしまう。

 では、どうすればいいのか。ここでは、政策の大きな方向性について内政、特に経済・社会政策と外交・安保政策という二つの軸を考えてみよう。

 経済・社会政策を横軸にとり、右方向を小さな政府派とし、左側を大きな政府派としよう。小さな政府派は個人の自立と市場の役割を重視する。セーフティネットは真の弱者への保護と失業者が再度労働市場に参入するための支援に極力限定する。

 対外的には開放主義を採り、TPPには賛成となる。大きな政府派は、政府の役割を重視し、様々な「弱者」と呼ばれる既得権層の保護を続ける。金持ちでも、農家、高齢者、中小企業ならばら撒きの対象とする。対外的には、保護主義的政策を採り、TPPには反対となる。

 次に、外交・安保政策を縦軸にとり、上方向をタカ派、下方向をハト派としよう。タカ派は、憲法改正、特に9条改正に熱心だ。安保のために軍事力増強をより重視する。ハト派は、護憲派が多く9条改正には反対である。また、原発政策については、タカ派は安保政策の観点からも原発推進ないし維持の立場で、ハト派は脱原発のことが多い。

 こうして縦横2軸を境に政策を色分けすると、政策の選択肢は、4つに分かれる。第一象限(右上)に小さな政府・タカ派のグループ1、第二象限(左上)に大きな政府・タカ派のグループ2、第三象限(左下)に大きな政府・ハト派のグループ3、そして、第四象限(右下)に小さな政府・ハト派のグループ4となる。これで政党を色分けしてみよう。

 民主党は、概ね大きな政府派といってよい。外交・安保政策については、両者混在だが、野田総理はかなりタカ派的な色彩を強く打ち出している。グループ2と3が多く、少数のグループ1がいるという感じだ。

 一方、最近の自民党は外交・安保でタカ派色が鮮明。経済・社会政策は、小泉政権は小さな政府だったが、その後「国土強靭化計画」など大きな政府派に転向した。安倍氏も総裁選で大きな政府派の支持を得て勝利した。グループ2が主流でグループ1が少数派だ。

 公明党は大きな政府派だ。外交については、以前はハト派的であったが、最近はタカ派の自民党に引きずられている。グループ2から3にまたがっている感じだ。

 共産党、社民党は大きな政府・ハト派のグループ3だ。国民の生活が第一など民主党からの分党組は大きな政府派。ハト派とタカ派が混在しているようで、グループ2から3というところだ。

 みんなの党は、小さな政府派だが、タカ派とハト派は混在、全体としては、脱原発を強く訴えるなど最近はハト派的な色彩も強めている感がある。グループ1か4か。

 維新の会は、小さな政府派でどちらかというとタカ派的色彩が強く見える。グループ1が主流なのか、まだはっきりしない。

 ちなみに、官僚は、もちろん大きな政府派で、2か3が多い。

 各政党には基本政策について真逆の政策を採るグループが混在していて、国民は投票先を決められない。

 上記の2軸で政界再編を行うとどうなるか。現職議員では、グループ2と3が多く、1が少数ながらある程度の固まりになる可能性があるが、グループ4、すなわち、小さな政府でハト派の政治家はごく少数だ。しかし、この政策の選択肢が明確に示された場合、これを支持したいという有権者がかなりいるのではないかと思うのだが、どうだろうか。

『週刊現代』2012年11月10日号より

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