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特別インタビュー日本中で進行する〝大震災の記憶の風化〟に警鐘を鳴らす 映画監督 堤幸彦「私は死ぬまで被災地に関わり続ける」
気仙沼湾沿いに広がるコンクリートの荒野。満潮時には、コンクリートの裂け目などから海水が染み出す

撮影|吉場正和

 自分が被災地・気仙沼とどのように関わっていくのか、その答えはドキュメンタリードラマ『Kesennuma,Voices.』の撮影で地元の皆さんが語ってくれた言葉の中にありました。「とにかく、忘れないでほしい」「見たくもないけれど、この光景は残してもらいたい。それが、あなたたちの仕事でしょ」------。

 こう言われて、覚悟を決めたんです。気仙沼、ひいては被災地の状況を継続的に撮り続け、問題の本質がどこにあるか、一生をかけて伝えていくことが、一映像作家としての自分の〝義務〟なんだ、と。

 堤と気仙沼との縁は、'07年公開の映画『自虐の詩』の撮影が始まりだ。その後も、ドラマ『スシ王子!』のロケで同地を何度も訪れている。

 3・11のあの日、私はホームレスを題材にした映画『MY HOUSE』の撮影で名古屋にいました。銭湯でロケをしていたのですが、銭湯のテレビをつけると気仙沼が大津波に呑み込まれる映像が目に飛び込んできました。夜になると、暗闇に燃え上がる炎が映し出されて。ロケの段取りをしてくれた役所の皆さん、『自虐の詩』でアパートを貸してくれたお婆ちゃん・・・・・・。お世話になった人たちの安否が心配で、ニュース映像に釘付けになりながら、涙が止まりませんでした。

 幸いにも、関係者全員が無事で胸を撫で下ろした堤だったが、未曾有の被害を受けたかの地に対して何をすべきなのか、葛藤することになる。

 被災地を撮影するなんて震災直後は思ってもいませんでした。撮影という行為は、非常に強引で傲慢で、ある意味、暴力的です。気仙沼だけでも1000人以上が亡くなっている状況で、単に悲惨だということで映像にするのは、私のやるべきことではないと考えたんです。