2012.11.01(Thu)

「映画とはプロダクションがやる
血みどろの賭博。
社長は血の勝負師であらねばならない」
社長室に飾っている言葉です。

日活 佐藤直樹

週刊現代
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『太陽の季節』『嵐を呼ぶ男』など数々の名作映画・ヒット作を製作・配給し、今年創立100周年を迎えた日活。率いるのは、佐藤直樹社長(49歳)だ。映画プロデューサー出身で、第35回日本アカデミー賞の10部門で最優秀賞を受賞した『八日目の蝉』('11年公開)の製作総指揮も務めた人物である。

「映画とはプロダクションがやる血みどろの賭博。社長は血の勝負師であらねばならない」社長室に飾っている言葉です。さとう・なおき/'63年、北海道函館市出身。'86年に日本大学文理学部卒業後、洋画の仕入れなどを行っていたJAVNに入社。その後'90年に大映へ入社し、『平成ガメラシリーズ』『着信アリ』などのプロデューサーを務める。'02年大映営業権譲渡に伴い、角川大映映画(現・角川書店)へ転籍。'05年11月より現職

人の運命
  映画に興味を持ったきっかけは、ある薄汚い集団にふらふら、と近づいていったことでした。大学へ入学した時、可愛い女性たちからサークルに勧誘されたのですが、私にはどうも合わない気がしたんです。一方、芝生の隅で車座になって酒を回し呑みしている面々には、なぜか強く惹かれた。恐る恐る彼らに声をかけたら、そのまま呑まされ、潰されました。この集団が映画サークルだったのです(苦笑)。

痴漢電車
  学生時代のアルバイトは、当時新宿三丁目にあった映画館のもぎり。任侠映画専門の名画座で、地下に成人映画専門の劇場を併設していて、私もタダで多くの作品を観ました。後に『おくりびと』で日本映画初となる米国アカデミー賞外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎監督の『痴漢電車シリーズ』や、ほかにも有名な監督の作品を上映しており、今思えば贅沢な時間でした。

本物はどっち
  私は「映画は、お客様に観ていただいて完結するもの」だと思っています。「一人でも多くのお客様に観てもらえること」が私の映画作りのモットーです。学生時代「映画理論を腕力でねじ伏せろ!」と、みんなで走り込みや筋トレをしていました。

 他大学の映画サークルの学生は映画理論中心の活動をしていましたので、語り合う時も理論武装では勝てない。でも  我々は「観客の反応は一番良かった」と学生映画祭の審査員によく誉められていました。その後、尊敬する音楽プロデューサーの大滝詠一さんが仰ったこんな言葉を知りました。「音楽に良いも悪いもなかりけり、聴く人々の耳に合わねば」。私は映画も同じと信じています。

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