雑誌
緊急特集レアアースも香港の不動産も押さえる 次期国家主席のビジネス習近平一族「カネの全貌」

尖閣問題で日中間が冷え切っているこの時期に総書記、そして国家主席に就任する習。舵取りが注目される・・・〔PHOTO〕アフロ(以下同)

姉に集中する「習家の資産」

習ファミリーのスナップ写真。左から弟の習遠平、母親の斉心、父親の仲勲、そして近平。他に姉が二人いる

 11月8日から開かれる中国共産党大会で総書記に就任予定の習近平国家副主席(59)。各国政府は、習政権がどんな政策をとるのか、権力掌握はスムーズに行くのか―などに注目している。が、中国国内や華人社会は、もう一つの話題でもちきりだ。習氏の「財産」と「ファミリー・ビジネス」の実態だ。香港在住の日本人ジャーナリストが言う。

「米国の華字紙『世界新聞網』や香港メディアが続々、習一族のカネとビジネスを取り上げています。一方、中国国内では当局によりネットが遮断され、習氏関連の記事にアクセスできなくなっている」

 当局も神経を尖らせるほど、習ファミリーは、とてつもない資産を持っている。蓄財の源泉は、果たして何か。ジャーナリストの相馬勝氏が解説する。

「資産実態がすべて解明されているわけではありませんが、習氏のファミリー・ビジネスの基本は『不動産』と『IT関連企業』です。不動産は公共事業に繋がり、政府の情報に近い立場にあれば有利。それに、不動産はすぐにカネになるからどの高官も手を出す。ITも、政府関連の事業が多数ある。カネのなる木ですね」

 右の図表「習近平の『ファミリー・ビジネス』」をご覧いただきたい。これは、現在海外や香港メディアなどで報じられている情報を元に作成したものだ。4人の姉弟とその家族を中心に、様々なビジネスが展開されているのが分かるだろう。よく見ると、ファミリーの蓄財の主要部分が長女の斉橋橋に集中しているのも分かる。詳しく見てみよう。

 橋橋は、不動産会社「北京中民信房地産開発」の理事長で、娘の張燕南の名義で香港に多数の不動産を所有している。次ページ写真がその一部だ。いずれも投資物件とされるが、「宝馬山花園」は、富裕層の多くが居を構える香港島の山の上にある高級マンション。敷地内には20階を超える10棟ほどの高層マンションが隣接して建ち、部屋数は優に1000室を超えるとみられるが、これらすべてを所有している。

 また、10階までがオフィスで、11階~46階までの595室が居住エリアとなっているタワーマンション「会景閣」も橋橋の所有で、ビクトリア湾に面した好立地。これらだけでも数十億円の価値があるとされる。香港島南部海側にある高級別荘地「浅水湾麗景道」には、一戸建ての別荘も所有している。昨年時点で香港に所有する7つの不動産総額は60億円と報じられているが、不動産バブルの続く香港だけに、その不動産価値はさらに上がっているかもしれない。産経新聞中国総局特派員で『習近平 共産中国最弱の帝王』(文藝春秋)の著者である矢板明夫氏が解説する。

10階までがオフィスで、11階~46階までの595室が居住エリアとなっているタワーマンション「会景閣」

「資産が橋橋に集中しているのには、理由があります。習は長男ですが、上から3番目。下放(※)されて15歳から7年間農村で暮らしたが、その間、自身も下放され厳しい生活を強いられながら、習に仕送りを続けたのが長女の橋橋でした。今でも、近平は頭が上がらないと言われる」

 習家のファミリー・ビジネスのスタートラインは父親の習仲勲(故人)にある。仲勲は中国共産党の元革命戦士で、毛沢東の下で党中央宣伝部長など要職を歴任した。文化大革命時には一時失脚したが、その後復活を果たし、'78年から広東省第一書記として深圳地区の経済特区構想を進めた。この時不動産関連のビジネスに乗り出したとも言われている。

(※)文化大革命期に学生らを地方の農村に送り込み、肉体労働を通じて思想改造を進めた思想政策
習近平の姉、斉橋橋が所有する香港の高級マンションの一つ「宝馬山花園」。林立するすべてを所有している

「近平の出世にはやはり父親の威光があった。清華大学化学工業学部を卒業後、国務院弁公庁を経て、福建省厦門市副市長、福州市党委書記などトントン拍子に要職に就いた。福建省時代、その後の上海市党委書記時代にビジネスに乗り出した」(前出・相馬氏)

 習家の資産は不動産だけではない。特筆すべきは、中国のレアアース販売のほとんどを手がけていると言われる「江集団」の株式の18%を所有していることだ。時価で約230億円の価値がある。

香港島の最高級別荘エリア「麗景道」にも物件がある。浅水湾(レパルス・ベイ)のビーチに面する好立地だ

「レアアースは精密機器の生産に欠かせない鉱物で世界的な希少資源。国家主席の立場でしか分からない情報があれば、この20%近い持ち株は利権ビジネスの最大の武器になるでしょう」(前出・在香港の日本人ジャーナリスト)

 次女の斉安安は、夫で実業家の呉龍が動いているようだ。国営通信会社の社長を務め、「中国企業投資協会」の理事にまで就いている。弟の習遠平はかなりのヤリ手と言われ、不動産会社のオーナー。「一時は習近平の名前を使いすぎ、近平と険悪な関係になったといいます。それでも'90年代に入って習の国家主席への道が見え始めると、姉の橋橋が間に入って仲直りさせた。今は、遠平も無茶なことはしていないようです」(前出・矢板氏)

 矢板氏によれば、ここ数年、習ファミリーは鳴りを潜めているという。

「今は習近平が国家主席になる大切な時期。家族がおかしなことをやれば、それをきっかけに主席の座が危うくなるかもしれない。習近平のトップの座が揺るがなくなったら動き出すと思います」

 習政権については、輸出入額が30兆円に迫る日中間の経済関係に関心が集まるが、習のファミリー・ビジネスを見る限り、中国は普通の国家ではない。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら